(ブルームバーグ):日本銀行の小枝淳子審議委員は26日の就任記者会見で、先行きの金融政策運営について、日銀が昨年から進めている利上げによる日本経済への影響などを見て判断していく考えを示した。
小枝氏は植田和男総裁の下で進んでいる金融政策の正常化に関し、金利のある世界が実現してから間もない現状では、「日本経済がどう反応していくかをしっかり見届けていく必要がある」と指摘。金融政策の効果の発現には時間がかかることもあり、「しっかりそこは見て、今後判断していくことになる」と語った。

日銀は昨年3月にマイナス金利を解除するなど大規模緩和に終止符を打った。7月と今年1月にも利上げし、政策金利は17年ぶりの高水準の0.5%程度。経済・物価見通しが実現すれば利上げを続ける方針を示しており、小枝氏はこれまでの利上げの影響なども踏まえて政策判断を行っていく姿勢を示した。
日本経済は「賃金・物価の好循環のステップは確認されてきている」一方で、トランプ米政権の関税政策などの影響で「通商政策を含めて先行きの不確実性は高い」と指摘。現状は日銀が重視する基調的な物価上昇率よりも足元のインフレ率の方が高いとしつつ、基調は2%物価目標に向かっていることは伝えていきたいと述べた。
国債買い入れ
日銀は昨年7月に決めた計画に沿って国債買い入れを段階的に減額し、バランスシートの圧縮を進めている。6月には減額計画の中間評価を行う予定だ。
小枝氏は、中間評価について「市場関係者や執行部の報告などしっかり聞いた上で、分析も見て判断したい」と指摘。上昇基調にある長期金利に関しては、足元の水準や日々の動きにはコメントを控えるとしつつ、長期金利変動の要因分析は可能であり、今後、関心を持ってみていきたいと語った。
中川順子氏に加えて、小枝氏が審議委員に就任したことで、9人の政策委員のうち女性が初めて2人となる。小枝氏は、「多様なバックグラウンドを持った人達が意思決定の場に直接関わることは、女性に限らず非常に望ましい」との見解を示した。
小枝氏は25日に任期満了となった安達誠司氏の後任で、早稲田大学政治経済学術院教授から就任した。マクロ経済や国際金融が専門で、日銀金融研究所の国内客員研究員も務めた。大規模緩和からの転換を「歴史的に大きなステップ」と評価しており、植田総裁の下で日銀が進める政策正常化を支持するとみられている。
(就任会見での発言を追加して更新しました)
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