中国の王鏑・駐カナダ大使は25日、カナダ政府に対し、米国との貿易交渉で中国を「取引材料」として利用しないようけん制した。ただ、カナダが中国からの投資に対する障壁を撤廃するのであれば、二国間自由貿易協定を目指す用意があると述べた。

昨年就任した王大使はインタビューで、中国としてはカナダの主権と領土の保全を強く尊重していると表明。トランプ米大統領はカナダについて、米国の51番目の州になるべきだと繰り返し発言している。

「中国は常にカナダ側と協力する用意があり、相互尊重の原則に従い、相違点を保留しながら共通点を模索している」と王氏は通訳を介して発言。「しかし、他国と交渉する際、いかなる国も中国を取引材料として利用することに反対している」と述べた。

カナダは2017年に2位の貿易相手国である中国との自由貿易協定に関する予備協議を開始したが、進展しなかった。18年にカナダ当局が米国からの身柄引き渡し請求に基づき、中国の通信機器メーカー、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟副会長兼最高財務責任者(CFO)を拘束したことで、両国の外交関係は冷え込んだ。中国は報復措置としてカナダ人2人を収監しており、21年にこの問題は解決したものの、両国の関係は依然として緊張状態にある。

王氏は、中国とカナダの貿易協定を巡る交渉には17年の協議に基づく良好な基盤があるとした上で、「合意に達するには、双方が同じ目標に向かって同じ方向で取り組む必要がある」と述べた。

原題:Envoy Warns Canada Against Using China as US ‘Bargaining Chip’(抜粋)

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