(ブルームバーグ):25日の日本市場は株式が上昇。トランプ米大統領の発言を受けて米国の相互関税が軽減措置などで的を絞ったものになるとの期待が強まり、過度の業績懸念が後退した。
トランプ大統領は4月2日に発動する予定の相互関税について、一部の国に対して適用除外や軽減措置を講じる可能性を示唆した。T&Dアセットマネジメントの酒井祐輔シニア・トレーダーは「米関税は予想されていたほど厳しくならないようだ」と述べた上で、これは米国経済にとって良い話であり、日米の株高につながっているとの見方を示した。
債券は米長期金利の上昇と日本銀行の早期利上げ観測で売られ、長期金利(新発10年国債利回り)は10日に付けた2008年以来の高水準に並んだ。円は対ドルで150円台半ばに上昇。リスク選好の売りで約3週間ぶりの安値を更新した後、米関税発動に対する不透明感から上昇に転じた。
株式
株式は反発。米半導体株高も追い風となり精密機器や自動車などの輸出関連、非鉄金属や不動産株が上昇した。
T&Dアセットの酒井氏は、投資家は銀行などのバリュー株を売り、自動車のような輸出関連株を買い始めているようだと指摘した。ただ、米関税政策は依然不透明なため、懸念は完全に払拭されず、相場の上値は抑えられる可能性が高いとみている。
ディスコが一時4%高、電線メーカーのフジクラが一時8%近く上昇した。オルタス・アドバイザーズのストラテジスト、アンドリュー・ジャクソン氏はリポートに、トランプ大統領の発言が半導体に対する投資家心理を押し上げたと指摘。「最近下落していたディスコのような銘柄は特に上昇するだろう」と記した。
為替
円相場は1ドル=150円台半ばに上昇。午前は事業会社の決済が集中する五・十日(ごとおび)に伴う実需のドル買いも指摘され、一時150円94銭と約3週間ぶりの安値を更新したが、節目の151円は超えずに切り返した。
外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は「円売りが続かないのは米関税の不透明感が根強いためで、トランプ大統領の発言だけで本当に懸念が和らいだのか疑問だ」と述べた。
SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は「きのうからの円売りは急ぎ過ぎたこともあり一服している」と指摘した。もっとも、「米関税は警戒されたほど厳しくない印象で、円ロングポジションの解消もまだ残っている」とみている。
債券
債券は下落。一時円安が進行したこともあり、日銀の早期利上げが警戒された。スワップ市場では4月30日、5月1日の金融政策決定会合での利上げが2割強、6月16、17日の会合は6割近い確率で織り込まれている。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美チーフ債券ストラテジストは、年度末で買い手が不在の中、米長期金利の上昇、トランプ大統領の発言によるリスク志向の高まり、賃金と物価の好循環への自信が示された日銀金融政策決定会合の議事要旨により、早期利上げが改めて意識されたと指摘する。
ニッセイアセットマネジメント戦略運用部の三浦英一郎専門部長は、5月1日の利上げ決定を視野に入れたような日銀幹部の発言やメディア報道が続き、警戒感が高まっていると語る。日銀の議事要旨は「目新しい内容はなかったが、日銀の利上げ継続姿勢が確認されたことも売り材料視された可能性がある」と言う。
新発国債利回り(午後3時時点)
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
--取材協力:船曳三郎、長谷川敏郎、アリス・フレンチ.
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