米半導体大手エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は20日、量子コンピューティング銘柄の急落を招いた過去の発言について、上場している関連企業があるとは当時認識していなかったと述べた。

フアンCEOはまだ新しい技術である量子コンピューティングを焦点としたイベントで、「上場していることを知らなかった、というのが私の最初の反応だった。クオンタム(量子)企業がどうやって上場できるのか」と語った。

フアン氏は1月に「非常に有用な」量子コンピューターは恐らく数十年先になるだろうと発言し、イオンキューなどの株価が急落していた。今回開催されたイベントでは、まさにこうした企業の一部がステージに招かれ、フアン氏と展望を語り合った。

量子コンピューティング産業は亜原子粒子の特異な性質を利用し、従来の半導体ベースのエレクトロニクスよりもはるかに速いデータ処理を目指している。実用的なシステム構築は技術的に難しく、この分野はなお実験段階にある。新興企業に加え、マイクロソフトやアルファベット傘下グーグルなども量子システムの実用化を試みている。

20日のイベントには、イオンキューやD-ウエーブ・クオンタムなどの関係者も登壇した。フアン氏はこうした形態のコンピューティングは非常に斬新であり、開発に何年もかかるのは当然だと指摘。これらの企業は、量子コンピューティングが予想以上に早く実現しつつあると同氏を納得させることができるかもしれないが、「私には分からない」と冗談を飛ばした。

登壇した6社の首脳らは、フアン氏にさまざまな見方を示した。量子コンピューターは科学の難問を解決するためにすでに使われているとの主張や、従来のコンピューティングの進歩に寄与し得る段階に近づいているとの意見もあった。

これほど大きな影響を与える技術を磨くのに10年を費やすのは不合理ではないとも幹部らは指摘。フランスの関連企業パスカルを経営するロイク・アンリエ氏は、「量子コンピューティング」という言葉は誤解を招く恐れがあると述べ、量子プロセッサーは従来のコンピューターに取って代わるのではなく、並行して機能するアクセラレーターとして役立つだろうと認識を示した。

原題:Nvidia CEO Says He Was Surprised That Public Quantum Firms Exist(抜粋)

--取材協力:Edward Ludlow.

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