(ブルームバーグ):来週の円相場は上昇圧力がかかりそうだ。日米の金融政策会合を通過し、市場の注目はトランプ米政権が4月2日に発動を予定する相互関税と追加のセクター別関税に移っている。日本や世界経済への悪影響が懸念され、投資家心理の悪化がリスク回避の円買いを促す可能性がある。
市場関係者の見方
野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジスト
- 関税発動に向けたヘッドラインリスクが高まる。自動車関税が25%ともなると日本経済への影響は大きく、リスクセンチメントが悪化しやすい
- 自動車関税は調査や企業へのヒアリングが行われ発効は先になる見通しで、リスクが残り続けるだろう
- 米連邦公開市場委員会(FOMC)のリスクバランスは景気が下振れ、インフレは上振れと不確実性が高く、スタグフレーション懸念の高まりが警戒される
- ドル・円のレンジは146-151円程度
外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長
- 4月2日に向けて様子見ムードが強まりやすい
- 円ロングポジションが積み上がる中、自動車関税発動の初期反応は円売りと予想されるが、日本株が大きく下げればリスク回避の円買いが強まる可能性もある
- 日本銀行の金融政策は5月利上げ観測が高まる材料でもない限り、影響は限定的か。米金融当局もスタグフレーション的な状況下で対応を予想するのは難しい
- ドル・円の予想レンジは147-151円程度
SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長
- 日銀の植田和男総裁の19日の会見は、4月に米関税の影響を見極めれば5月の利上げも否定しないようなタカ派的な印象だった
- 日銀金融政策決定会合の「主な意見」などの公表を考えると、やや円高方向を予想。昨年10月以来の円高値146円台半ばを超える場面があってもおかしくない
- ドル・円の予想レンジは146円-149円50銭程度
来週の主な予定
- 24日:3月の米S&Pグローバル製造業・サービス業・総合購買担当者指数(PMI)
- 25日:日銀金融政策決定会合の議事要旨(1月23、24日分)
- 28日:日銀決定会合(3月18、19日分)の「主な意見」、3月の東京都区部消費者物価指数(CPI)
- 28日:2月の米個人消費支出(PCE)価格指数、3月の米ミシガン大学消費者マインド指数
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