(ブルームバーグ):オーストラリア統計局が20日発表した2月に雇用者数は予想外に減少した。年内の追加利下げ観測が広がり、豪ドルは下落し豪国債利回りは低下した。
2月の雇用者数はフルタイム職を中心に5万2800人減少した。エコノミスト予想は3万人増だった。失業率は4.1%で前月から横ばいとなり、労働参加率の低下が反映された。
豪ドルは下落し、金融政策に敏感な3年国債利回りは下げ幅を広げた。トレーダーの間では近い将来の利下げ観測と緩和サイクルが2026年まで続くとの見方が強まった。

オーストラリア準備銀行(中央銀行)は先月、物価上昇圧力が弱まりつつつつあるとの確信を得て政策金利であるオフィシャル・キャッシュレートを0.25ポイント引き下げ4.1%にすることを決めた。
短期金融市場では豪中銀が5月に利下げを行う可能性は約77%と受け止められており、雇用統計発表前の50%程度から高まった。トレーダーは豪中銀がその後26年1-3月(第1四半期)までにさらに2回の追加利下げを行う可能性も完全に織り込んでいる。統計発表前はその確率は約80%と見込まれていた。

雇用情勢の軟化は、5月中旬までに予定される総選挙に向けて準備を進めるアルバニージー政権には向かい風だ。政府はここ数年の物価高と金利上昇による生活コスト上昇の責任を問われており、世論調査では野党の保守連合(自由党・国民党)がわずかに優勢。
豪中銀のブロック総裁は先月の利下げ決定の後、追加緩和の見通しについては慎重な姿勢を崩さず、労働市場のタイトな状態が長引けば物価上昇圧力が再燃しかねないとの懸念を示した。豪中銀の次回政策会合は3月31日、4月1日に開催される。
原題:Australia’s Employment Plunge Prompts Boost in Rate-Cut Bets (2)(抜粋)
--取材協力:Shinjini Datta、Carmeli Argana.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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