米連邦公開市場委員会(FOMC)は18、19両日に開催した定例会合で、主要政策金利のフェデラルファンド(FF)金利誘導目標レンジを4.25-4.5%に据え置くことを決定した。会合後に公表されたFOMC参加者による最新の経済予測では、今年の成長率予想が引き下げられた一方、インフレ率の予想は引き上げられた。

FOMCはまた、4月から米国債のランオフ(償還に伴う保有証券減少)ペースの上限を月間250億ドルから50億ドルに減額することも決定した。

これについての市場関係者の見方は以下の通り。

◎eToro(イートロ)のブレット・ケンウェル氏

  • 多くの市場関係者は、今日のFOMCでは「一過性」という言葉に注目しており、2021年にインフレが急激に高騰し、最終的に米金融当局が積極的な利上げを余儀なくされたことを想起させたが、恐らく今日のキーワードは「不確実性」だろう
  • 当局が今年のインフレ率は3カ月前の想定より高くなると考えているなら、なぜ年内2回の利下げを予想しているのかと投資家は疑問に思うかもしれない
  • パウエルFRB議長は経済は全体的に堅調であると主張しているにもかかわらず、FOMCは経済予測で25年の国内総生産(GDP)伸び率予想を引き下げており、当面は利下げ予測を据え置くことを可能にした

◎ネーションワイドのマーク・ハケット氏:

  • FOMCの四半期経済予測の調整に対する市場の反応は興味深い
  • 「悪いニュースは良いニュース」という反応は、投資家が経済予測の概要を単なる予測ではなく、現在の不確実性のレベルを反映したものと捉えていることを示唆している
  • ここ1カ月の広範な悲観論が弱まりつつあることを示す兆候でもあるものの、持続的な回復には関税と成長に関するより明確な見通しが必要だ

◎ソーンバーグ・インベストメント・マネジメントのクリスチャン・ホフマン氏:

  • 「一過性」のキーワードがまた戻ってきた。米金融当局は経済やインフレをあからさまに懸念していないという意味で、市場は全体としてこれをハト派的だと受け止めるだろう。株式と国債は好感している

◎ハリス・フィナンシャル・グループのジェイミー・コックス氏:

  • FOMCはきょう、保有米国債のランオフペースを減速させる行動をとったことで、間接的に利下げを実施した。これは夏までのランオフ中止に道を開く。運が良ければ、インフレのデータはFF金利の引き下げが当然の選択肢となるような状況となっているだろう

◎プリンシパル・アセット・マネジメントのシーマ・シャー氏:

  • FOMCが利下げを見送るという決定は12月下旬時点で記されていた。当時はインフレが根強く、景気は過熱し、労働市場は堅調だった。しかしそれ以降、信頼感は落ち込み、労働市場の亀裂は拡大し、リセッション(景気後退)懸念が強まったが、インフレ懸念は続いている。恐らく、FOMCが政策に関して明確性を持っていたなら、つまり政策を誤る可能性が小さかったなら、きょう利下げを実施していただろう

◎LPLファイナンシャルのチーフエコノミスト、ジェフリー・ローチ氏:

  • 政策金利据え置きにサプライズはない。FOMCは今後の関税発動による影響に身構えており、政策面で霧の中にいる。最新の予測はより悲観的であり、短期的にはドルに下げ圧力がかかるだろう。今月のインフレデータは上振れリスクがあるものの、コアインフレは夏までに減速して6月の利下げには間に合うだろう

◎BOKファイナンシャルのスティーブ・ワイエット氏:

  • なお拡大が続く経済、失業率のわずかな上昇、年内2回の利下げとの見通しが示された。これは政策変更の影響を巡りわれわれと同様に米金融当局も混乱していることを示した前回の声明と似ている。米国債の圧縮ペース減速は、政策を大幅に変更するとのシグナルではない。市場には依然として明確さが欠如している

◎ロンバー・オディエ・インベストメント・マネジャーズのフロリアン・イエルポ氏:

  • 金利見通しに変更はなかったのでノンイベントの会合といった印象を与えるかもしれないが、これらの見通しの推移は恐らく株式よりも国債にとって望ましい内容だろう。市場の反応からは、米金融当局が量的引き締めを微調整する一方で、主要な敵であるインフレと闘っているとの受け止めから、国債相場の追い風になっていることがうかがわれる。だが、インフレが要因となって政策金利は据え置かれるため、成長鈍化という代償を伴う恐れがあり、結果的に企業利益の重しになりかねない。株式市場は今のところ、そうは見ていないが、米金融当局が経済に圧力をかけ続ければ、企業利益は厳しい状況に追い込まれる可能性がある

◎クレディ・アグリコルのG10FX戦略責任者、バレンティン・マリノフ氏:

  • 成長予想が下方修正される一方でインフレ予想がやや上方修正され、FOMC声明はスタグフレーションの兆候を示唆する内容となった。ドルがやや売られたのは、声明と経済予測が最近の金融当局の強気なレトリックに比べて悲観的と受け止められたことが原因だ。短期的には、インフレリスクで利下げは当面見送られる可能性がある。従って、米金利市場が2025年に関するハト派的な見通しを修正すれば、ドルが一定の勢いを取り戻す可能性はあると考える

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