(ブルームバーグ):トランプ米大統領は19日、ウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談を行った。トランプ氏は「極めて良好」な会談だったと語り、ウクライナでの戦争終結に向けた取り組みは「順調」だと述べた。
トランプ氏は前日にロシアのプーチン大統領と電話で会談。プーチン氏はウクライナのエネルギーインフラへの攻撃を制限することに前向きな姿勢を示したものの、米国が提示した30日間の停戦には応じなかった。
トランプ氏は「協議の多くは前日のプーチン氏との電話会談を踏まえたもので、ロシアとウクライナ両国の要求とニーズを調整することを目的としたものだった」と、ソーシャルメディアに投稿した。
トランプ、ゼレンスキー両氏は2月に米大統領執務室で会談したが、口論に発展し、両者の不調和が浮き彫りになっていた。
ゼレンスキー氏は19日のトランプ氏との電話会談で、3年にわたるロシアとウクライナとの戦争を終結させる最初のステップとして、エネルギー資産に対する相互の攻撃停止案に同意したことを明らかにした。
ゼレンスキー氏はトランプ氏との電話会談後にXへの投稿で「戦争を完全に終結するための最初のステップの一つは、エネルギーやその他の民間インフラへの攻撃を止めることだろう」とした上で、「私はこの措置を支持した。ウクライナは実施の用意があることを確認した」とコメントした。
今回の電話会談に先立ちゼレンスキー氏は訪問先のヘルシンキで記者団に対し、ロシアが現在占領している地域をロシア領として認めることは決してないと強い姿勢を示した。トランプ、プーチン両氏はウクライナが一部領土を失う可能性に言及していることから、今後さらなる摩擦が生じることも予想される。
ゼレンスキー氏はさらに、プーチン氏がエネルギーインフラへの攻撃を抑えると約束しただけでは、ウクライナがロシアの石油資産に対する攻撃を停止するには不十分だとも述べた。
電話会談に関するルビオ米国務長官とウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)の声明によると、ウクライナ向け武器輸送と情報共有を以前に停止すると表明していたトランプ氏は、新たな支援を約束。ゼレンスキー氏が自国民防衛のためパトリオットミサイルシステムなど、追加の防空システムの供与を要請したのに対し、トランプ氏は欧州で利用可能なものを探すため協力することに同意した。
トランプ氏はさらに、ウクライナの電力供給と原子力発電所の運営支援を提案。「それらの発電所を米国が所有することが、そのインフラを保護する最善策となる」としている。
声明では「技術チームが今後数日のうちにサウジアラビアで会合を開き、完全停戦に向けた道筋として、停戦を黒海まで拡大することについて話し合う」としている。
その後、ゼレンスキー氏はヘルシンキからの電話会議で記者団に対し、米国とウクライナのチームが3月22日から24日にかけてサウジで協議することを明らかにした。また、電話会談中にトランプ大統領から圧力を感じたことはなく、部分停戦の追加条件も提案されなかったと話した。
米国のウィトコフ特使は19日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、ロシアとウクライナの全面的な停戦は「数週間以内」に可能だと考えていると述べ、米ロ首脳会談も「実現する可能性が高い」との見方を示した。
原題:Zelenskiy Says He’ll Talk to Trump After Putin’s Phone Call (1)、Zelenskiy Backs Ceasefire on Energy in Friendly Trump Call (1)(抜粋)
(ゼレンスキー氏の発言などを追加して更新します)
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