(ブルームバーグ):トランプ米大統領は先週、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)などを傘下に抱える米国グローバルメディア局(USAGM)の機能を大幅に縮小する大統領令に署名した。この犠牲となる組織の一つは、世界のネットユーザーが圧制下の検閲と闘うのを支援してきた「オープン・テクノロジー・ファンド」(OTF)だ。
OTFは小規模ながら影響力のある非営利団体。USAGMから資金提供を受けており、年間予算は4000万ドル(約60億円)。暗号化メッセージアプリ「シグナル」や匿名化するブラウザーの「トーア」、サイフォン社のオープンソースツールなどの技術に貢献してきた。
サイフォンのツールは2021年、キューバ人100万人余りのソーシャルメディア遮断回避を支援した経緯がある。
トランプ氏は14日、USAGMを含む7つの政府機関の機能を「最大限削除する」大統領令に署名した。
OTFは「ラジオ自由アジア」のプログラムとしてスタートして以来、超党派を支持を得てきた。約40人の職員を抱える。
OTFのプレジデント、ローラ・カニンガム氏は、「このままでは、4500万人余りの人々が、信頼でき安全な仮想プライベートネットワーク(VPN)へのアクセスを失うことになる」と警告した。
VPNは政府によるウェブサイト遮断回避のためのプロキシを提供する。同氏は、VPNへのアクセス喪失について「独裁者を勢いづかせ、権威主義的なファイアウオールに閉じ込められたオーディエンスに米政府がリーチする能力を排除することになる」とも指摘している。
原題:Trump Order Gutting Agencies Cuts Tools to Fight Censorship(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.