米アップルの株価が最近急落したのは、投資家にとってはチャンスとの見方が浮上している。ハイテク大手の同社は市場が不安定な時期に安全な避難先になるとの見方が一部アナリストの間に依然としてあるからだ。

先週は11%近く下落し、週間下落率は2022年11月以来最大を記録した。年初来下落率は14%を超え、ナスダック100指数の約6%より大幅な値下がりだ。17日は0.2%高で終了した。

株価下落の背景には、スマートフォン「iPhone」を手がけるアップルが他の大型ハイテク株に対して高めで評価され、成長見通しは精彩を欠く状況にあって、期待に応えられるかという懸念がある。関税やより広範な経済見通しを巡る不透明感はここ数週間にわたりテクノロジー株全体に打撃を与え、こうした懸念は強まっている。

しかしアップル株の強気派は、同社が巨大なユーザー基盤をてこに安定した利益成長を遂げ、多額のフリーキャッシュフローを生み出すなど従来の優良な特徴を維持していると主張している。

 

ローゼンブラット・セキュリティーズのアナリスト、バートン・クロケット氏は「経済的ストレスが懸念される時期に、不可欠なデバイスの売り手として確固たる地位を築き、卓越したブランド力と財務体力を備えることは、期待より遅い人工知能(AI)機能の強化やトランプ関税の影響といった逆風に対して株価を支える論拠となる」とリポートで分析した。

音声アシスタント「Siri」のAI機能強化の遅れなど、最近の問題は、アップルがAI時代に苦戦しているとの見方をさらに裏付けたが、クロケット氏は「iPhoneとAIサイクルはこれから改善する」との見方を示した。

メリウス・リサーチのアナリスト、ベン・ライツェス氏も、iPhoneの長期的な可能性に楽観的な見解を維持しており、同氏とクロケット氏はアップル株の投資判断をいずれも「買い」としている。

ライツェス氏は、折りたたみ式携帯電話といった新機種や新機能が、投資家に重要な指標である平均販売価格を長期的に押し上げると予想。アップルの販売台数の伸びが限定的であっても、26年度と27年度のiPhone収入は10%近く伸びると見込んでいる。

原題:Apple’s Worst Week Since 2022 Spurs Wall Street to Defend Stock(抜粋)

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