世界最大の宝飾品市場が、金取引に拍車をかけている。金価格が今年も最高値を更新する中で、インドの宝飾業者や小口トレーダーは投機と現物保有へのヘッジを兼ね金先物オプションに注目している。

投資家の関心の高まりは、インドを代表する商品取引所インド・マルチ商品取引所(MCX)でも明らかになっている。

金先物オプションの1日平均取引高は2月に6050億ルピー(約1兆200億円)に急増。MCXのオプション取引高全体の26%を占め、2021年10月以来最大の割合となった。原油先物オプションは依然として最も多かったが、昨年の全体の70%余りから52%に低下した。

トランプ米大統領の関税政策への懸念から、原油は先週6カ月ぶりの安値を付け、投資家は金のような安全資産に投資するようになっている。

商品調査会社コムトレンズ・リサーチのディレクター、グナナセカー・ティアガラジャン氏は、オプション取引は今後も変化し続けるだろうが、市場関係者は総じて金に強気だと指摘。「トランプ大統領は20-30%という衝撃的な関税率を提示し、その後交渉する。この不確実性は全て金の強気材料だ」と述べた。

 

インドでは、金は価値の保全や富の象徴としてだけでなく、縁起の良い意味が込められた神聖な資産としても見なされている。

昨年7月の輸入関税引き下げが需要を喚起し、インドは最大の宝飾品市場の座に返り咲いた。その後、昨年はほぼ全ての国で値下がりした金宝飾品も、インドではわずか2%の下落にとどまった。

MCXのデータによると、2月に金価格が過去最高水準に達し、同月の先物オプション取引は24年平均の3倍近くに急増。一方、原油先物オプションの1日当たりの平均取引は1兆2000億ルピーに減少し、昨年6月以来の低水準となった。

CMEグループによれば、米国では金オプションの取引が2月に前年同月比でほぼ倍増した。

「トレーダーは金に好機を見出し、原油オプションからシフトした」とメータ・エクイティーズの商品担当バイスプレジデント、ラフル・カラントリ氏は語った。

原油先物オプションの取引高は先週回復し、金の取引高は減少した。しかし、インドの経済成長のペースや株価動向に対する懸念がある今、金は投資家の間で引き続き人気を維持するだろうとティアガラジャン氏は指摘している。

「金と原油に対する関心は一般的に逆相関の関係にある」とし、「経済にとって良いことは原油にとっても良いこと。そして、経済が良くないときや不確実性があるとき、人々は金に殺到する」と同氏は話した。

原題:Gold Shines Bright as Biggest Jewelry Market Boosts Options Bets(抜粋)

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