日本銀行の植田和男総裁は12日、長期金利が急上昇した場合に限って機動的に国債買い入れの増額を実施する考えをあらためて示した。参院予算委員会で答弁した。

植田総裁は「通常の市場の動きとは異なるような形で、長期金利が急激に上昇するといった例外的な状況」では、「市場における安定的な金利形成を促すという観点から、機動的にオペを臨時に実施する」と語った。

植田総裁は同日午前の国会答弁で、長期金利は市場で形成されることが基本との方針を改めて表明。金利上昇は、経済・物価見通しや海外金利動向を反映しているとの市場の見方と「大きな齟齬(そご)はない」と述べた。将来の短期金利に対する市場の予想を反映して長期金利が変動することは「自然な姿だ」とし、政策金利決定時の考え方を市場に分かりやすく発信し続けることが重要との見解を示した。

日銀の早期利上げ観測や欧米金利の上昇を受けて、日本の長期金利は10日に一時1.575%と2008年10月以来の高水準を付けた。植田総裁は2月の衆院予算委員会でも、市場の通常の動きとやや異なる形で急激に上昇する例外的な状況では「機動的に国債買い入れの増額等を実施する」と発言していた。

長期金利上昇の財政への影響に関しては、短期的な財政運営について申し上げるべきではないと発言。財政は政府・国会が決めるものであり、「中長期の持続可能性について常に配慮していただきたい」と語った。

(植田日銀総裁の発言を追加して更新しました)

--取材協力:氏兼敬子.

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