(ブルームバーグ):ホワイトハウスは11日午後(日本時間12日午前)、トランプ大統領が先に大統領令に署名した鉄鋼・アルミニウム輸入に対する25%の関税を巡り、カナダを含む全ての貿易相手国・地域について予定通り12日に発動すると発表した。
一方でトランプ氏は、カナダのオンタリオ州が米国向けの電力価格に25%上乗せする計画への報復として、カナダ産鉄鋼・アルミに対する関税率を50%に引き上げるとの警告は取り下げた。
ホワイトハウスのデサイ報道官は、「先の大統領令に従い、鉄鋼とアルミへの25%の関税は、例外や適用除外なく、カナダを含む全ての貿易相手に対し3月12日午前0時に発動する」とする声明を発表した。
米税関・国境警備局(CBP)は11日夜、特定の鉄鋼・アルミ及び同派生製品について、全ての国からの輸入品を対象に米東部時間12日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)から税率25%の関税を徴収すると商務長官の通知をウェブサイトに掲載した。
トランプ氏による警告を受け、市場にあらためて動揺が広がるなどしたが、オンタリオ州のフォード首相とラトニック米商務長官は同州による電力価格上乗せ計画の停止を表明。両氏は13日にワシントンで会談する予定だ。
フォード氏は「どんな交渉でも、双方が激高し、冷静さが求められる局面がある。そして、私はこれが正しい決断だと思った。彼らはわれわれが電気と関税についてどれほど真剣であるかを理解している」と記者団に語った。
トランプ氏はその直後に記者団に対し、カナダ産鉄鋼・アルミ関税率を50%に引き上げることについて、取り下げを検討すると話していた。
今回の混乱は関税を巡り延期や適用除外、撤回を繰り返してきたトランプ氏の脅しの不安定な性質を浮き彫りにした。大々的な脅しをかけ、貿易相手から譲歩を引き出した後に見直すという、同氏の常とう手段に従ったものだ。
一方、トランプ氏は11日午前、カナダが米国産乳製品などへの関税を引き下げなければ、4月2日にカナダの自動車部品に対する関税を「大幅に引き上げる」とも表明していた。同氏がこうした警告を実行するかどうかは不明だ。

原題:Trump Backtracks on Canada, Says 25% Metal Tariffs Taking Effect、US Customs Posts Notice on March 12 Steel, Derivatives Duties(抜粋)
(米税関・国境警備局の情報を追加して更新します)
--取材協力:Joe Deaux、Shawn Donnan、Brian Platt、Derek Decloet.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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