米国からの対中投資を制限する政策をトランプ米大統領が推し進めていることで、中国企業の米国預託証券(ADR)が香港上場株より割安な水準で取引されている。

アリババグループのADRは2月28日終了週に香港上場株に対して平均2.1%のディスカウント水準となった。一時は2022年以来の大きな開きを記録した。

百度(バイドゥ)と網易(ネットイース)でも同様のパターンが見られ、ADRは香港株に対して5カ月ぶりの安値水準で取引された。

トランプ氏は2月21日、年金基金による中国株投資への監視を強化するよう指示。同氏が中国に対して強硬姿勢を強めるにつれ、ADRと香港株の価格ギャップがより一般的になる可能性があると警告するアナリストもいる。

裁定取引を行う投資家は、2つの市場の価格を一致させる強い動機を持っている。だが、米国の機関投資家が対中規制を巡る圧力を受け中国株の売却を迫られる一方で、香港で投資家が人工知能(AI)ブームへの楽観的な見通しから中国株買い進める場合、投資資金のフローは劇的に変化し得る。

 

このことが示唆しているのは、米中間の金融デカップリング(切り離し)が長期的なトレンドとなる可能性だ。

BofAセキュリティーズの中国株担当チーフストラテジスト、ウィニー・ウー氏(香港在勤)は、「もし米国の政策により、米投資家が保有している特定の中国株を売却することが義務付けられた場合、ADRに継続的な投げ売りが発生するかもしれない。米投資家のポジションがADRに集中しているためだ」と指摘した。

 

原題:Alibaba’s Sudden ADR Discount Shows Fear of US-China Decoupling(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.