3月の日本株市場は、日本郵政によるゆうちょ銀行株式の売却やJX金属の新規株式公開(IPO)で合計約1兆円に上る大量の株式売り出しが予定されており、需給面では供給過多の厳しい状況にある。

郵便局とゆうちょ銀の看板

日本郵政はグループの民営化を進める一環として、子会社のゆうちょ銀株を一部売却する予定。売却額は6000億円規模で、売り出し価格は10-12日の間に決まる。2023年のゆうちょ銀株売り出し以来の大型案件だ。

JX金属のIPOでは、親会社で石油元売り大手のENEOSホールディングスが持ち分の約半分を国内外で売却し、売却総額は最大4390億円になる見込み。IPOに伴う売り出し規模としては18年に上場した国内通信大手のソフトバンク以来の高水準となる。公開価格は10日に決定し、19日に東京証券取引所プライム市場に上場予定だ。

国内の株式資本市場は昨年、資金調達額が5兆円と6年ぶりの活況となった。今年も両社のように大型案件は出ているが、東証株価指数(TOPIX)は年初来で1.2%安と足元の日本株相場は軟調。米国の関税政策や為替の円高推移などに懸念が広がっており、今後の株式資本市場の動向に悪影響を及ぼす可能性もある。

GCIアセット・マネジメントの池田隆政シニア・ポートフォリオ・マネジャーは、JX金属と日本郵政は個人投資家の需要を吸い上げてしまうため、市場が売り出しを吸収できるか懸念されると指摘。JX金属のIPO後の新規上場銘柄は、「業績が伸びていないと初値は伸びないだろう」との見解を示した。

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