香港のヘッジファンド、オアシス・マネジメントのセス・フィッシャー最高投資責任者(CIO)は、同社が花王に対して行った株主提案は、他の株主から大きな支持を得ていると話した。

アクティビスト(物言う株主)として知られるオアシスは、花王の発行済み株式の5.2%を保有する大株主で、21日に開催される花王の定時株主総会に対して社外取締役5人の選任を含む株主提案を提出している。

セス・フィッシャーCIO(4日・都内)

フィッシャー氏はブルームバーグのインタビューで「われわれの提案に対して非常に多くの支持が来ている」と述べるとともに、他の株主からも花王の経営陣との対話、エンゲージメントを行うことが難しいという声を聞くと明かす。

花王は、オアシスが選任を求めた社外取締役は必要な専門性や資質を欠いているなどとして、同ファンドの株主提案すべてに反対するとの意見を2月に公表した。

フィッシャー氏は3月6日に東京で行われた記者会見で、「われわれは長期的な視点で取り組んでいる」と語り、今回の提案が否決された場合は再度試みる意向を示した。

オアシスは花王の長谷部佳宏社長と対話を求めてきたが、実現したのは45分程度の会合1回で、「中身も具体性も欠いた」ものだったとフィッシャー氏は不満を表明した。

花王の業績は長谷部社長が就任した2021年以降も右肩下がりだったが、24年12月期は純利益ベースで6期ぶりに増益となった。同社の株価は昨年来、東証株価指数(TOPIX)とほぼ同程度のパフォーマンスとなっている。

日本株市場ではアクティビストの影響は急速に高まっているものの、その株主提案が株主総会で承認されることはまれだ。

紅麹(こうじ)問題に揺れる小林製薬に対してオアシスが行った株主提案は2月、大差で否決された。ただ、同ファンドは23年、フジテックに対して会社側提案の社外取締役3人を解任し、逆に自ら提案した社外取締役4人を送り込むことに成功している。

(5段落目にフィッシャー氏のコメントを追加します)

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