米コロラド州グリーリーに大型工場を構える食肉加工最大手、ブラジルのJBSはライン生産労働をハイチからの移民に依存してきた。

バイデン前米大統領がこうした移民の一時的な滞在・就労資格を延長したことを受けた動きだ。労働組合の担当者によれば、同工場では現在約1000人のハイチ人が働いている(JBSはこの見積もりに異論を唱えている)。

米国の消費者が手頃な価格で牛肉を購入できるのは、食肉解体という過酷で危険な仕事に就く移民労働者のおかげであり、こうした移民の波は全米の食肉加工工場に押し寄せている。現在のところ彼らの就労は完全に合法だが、トランプ大統領の下で状況はすぐに変わる可能性がある。

ホワイトハウスは一部のハイチ人やベネズエラ人、難民、亡命希望者を強制送還から保護する措置の終了または制限に動いた。祖国の混乱や災害から逃れてきた移民の後ろ盾を外す取り組みを強化している。後ろ盾を失った移民は就労が認められず、帰国か強制送還の選択を強いられる恐れがある。そうなれば全米の工場が労働者を失い、移民に依存してきた食肉加工業界を根底から覆しかねない。

グリーリー工場を代表する全米食品商業労働組合(UFCW)幹部のマーク・ローリツェン氏は「何百人もの生産ライン労働者がいなくなる」と指摘。「それが起こるとどうなるだろうか。供給が減れば、価格は上昇する」と述べた。

トランプ氏が不法移民の取り締まりを強化する中、今後の労働者不足を危惧する労組や大手食肉加工業者は工場の操業を維持する手段を協議している。

「われわれは対応策や人員と安全を確保する方法について、全ての雇用主と話し合いを開始した」とローリツェン氏は話した。UFCWはタイソン・フーズやスミスフィールド・フーズ、カーギルなどの工場労働者も代表する。

JBSはグリーリーやその他の工場で大きな雇用の問題が生じるとは想定していないとの声明を発表。米国での労働者6万5000人のうち、一時的な滞在・就労資格を持つ労働者は2%に満たないとし、グリーリー工場のハイチ人労働者数に関する労組の見積もりは「不正確」だと指摘した。その上で、労働者の国籍は確認していないとして、同社の数字を示すことは控えた。「JBSはグリーリーの施設でもその他全米の工場においても、人員を適切に確保できることに不安はない」と説明した。

トランプ氏による国境取り締まり強化で移民労働者の入国が制限されれば、長期的には食肉加工業者にとって試練となる。

原題:Cheap US Beef at Risk as Trump Seeks to Deport Haitian Workers(抜粋)

--取材協力:Isis Almeida、Gerson Freitas Jr、Alicia A. Caldwell、Ilena Peng.

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