低迷が続く商社株にとって、米著名投資家から近々届く手紙が浮上への鍵を握っている。ウォーレン・バフェット氏率いる投資・保険会社バークシャー・ハサウェイは、毎年恒例の「株主への手紙」を22日に公開する予定。同氏のお墨付きで株価上昇に弾みがついた2024年の再現に期待する投資家は少なくない。

バークシャー年次株主総会会場のバフェット氏のパネル

昨年のバフェット氏の「株主への手紙」では保有する5大商社の株主還元や役員報酬が称賛され、三井物産株や三菱商事株が翌営業日に最高値を更新した。もっとも、8月の世界的な株価急落を経て、商社株は低迷。トランプ米大統領の返り咲きが決まった11月以降は、資源価格の動向や米関税政策を巡る懸念を背景に、商社株を含むTOPIX卸売業指数は12%安と、0.7%高の東証株価指数(TOPIX)をアンダーパフォームしている。

バフェット氏による商社株保有は、海外投資家が割安な日本株に注目するきっかけとなり、24年のTOPIXと日経平均株価の史上最高値更新に寄与した。「投資の神様」と呼ばれる同氏から日本株について前向きなコメントがあれば、足元で最高値圏にある欧米株など他市場に後れを取る日本株の転機にもなり得る。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大西耕平上席投資戦略研究員は、バフェット氏の保有は海外の投資資金が日本株に流入する「カタリストになった」とし、「コメント自体のプラスの影響は結構大きい」と話す。その上で、今回の手紙で商社株への言及があれば、エネルギー事業以外の利益寄与度が大きい伊藤忠商事などが選好されやすいとみる。

変更報告書によると、バークシャーは三井物、三菱商、伊藤忠、住友商事、丸紅の株式を平均で約8.1%保有する。5大商社株の大量保有が初めて明らかになったのは20年8月で、最大9.9%まで買い増す可能性を示唆していた。24年10月には新たな円建て社債を発行し、日本株への追加投資に期待が高まった。その後バークシャーによる日本株の大量報告書は出ていない。

今回の手紙で商社株が改めて称賛される可能性は低いとの見方もある。バークシャーの株主総会に出席経験を持つ、びとうファイナンシャルサービスの尾藤峰男代表取締役は、保有株の変動がなく特に商社株に言及することはないと予想。言及があればプラスだが、「バフェット氏が投資したということのインパクトはやや静まってきた」と指摘する。

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