2月18日、第7次エネルギー基本計画(第7次エネ基)が決定された。日本のエネルギー政策は、安全性Safetyを大前提に、安定供給EnergySecurity・経済効率性EconomicEfficiency・環境適合Environmentを図る「S+3E」を基本的視点とし、前回エネ基では3E関連指標の見通しが示されたが、今回は「経済効率性」の指標(前回:電力コスト)のみ見通しが示されなかった。

近年、電力コストが国民生活や企業活動の重荷になっている。電力料金単価は、化石燃料輸入価格の高騰を背景に、政府の大規模な補助金にもかかわらず、1985年来の高水準となった。加えて、単価の急変や先行きの不透明感も企業の経営判断を困難にしている。一方、エネルギー需要に占める電力の割合(電化率)は上昇しており、わが国経済における電力料金単価の重要度も上昇している。

第7次エネ基をみれば、あらゆる分野で電化を推進する方針で、電力料金単価は一段と重要になっている。また、再生可能エネルギー(再エネ)の主力電源化は、燃料費等の削減は期待できる一方、再エネ賦課金や託送料金がコストを押し上げる可能性があり、電力料金単価に大きな影響をもたらす。さらに、AI・データセンター等における電力需要の増加も、電力コスト全体の増加要因になっている。

したがって、日本政府は、①「経済効率性」に関する電力料金単価等の見通しを示すとともに、②関連指標を定期的に点検し、③見通しから大きく乖離する兆しがあれば、フォワードルッキングに対策を検討する体制を構築して、計画の実現性を高めるべきだ。併せて、モニタリング結果等の情報発信を通じて、国民や企業における電力料金単価の予見性向上を図ることが肝要だ。

(※情報提供、記事執筆:日本総合研究所 調査部 主任研究員 新美 陽大)