(ブルームバーグ):高級ハンドバッグ「バーキン」で知られるエルメス・インターナショナルの創業家が4年間に受け取る配当は合計で51億ユーロ(約8000億円)となる見通しだ。
業界の好調期に波に乗った後、今は競合他社の苦境を尻目に業績を伸ばし続けている。エルメス株の3分の2以上を所有する約100人の相続人は、配当金増加の恩恵にあずかっている。今年の配当は過去最高額となる。
発表によると、同社の2024年10-12月(第4四半期)は予想を上回る増収となった。ライバル企業のLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンは主要部門が減収だった。「グッチ」のオーナーであるケリングは24年決算が減益になったと発表した。
ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、エルメス一族の資産総額は2138億ドル(約32兆2000億円)と推定される。パリに上場している同社の株価は、21年初めに比べ3倍以上の水準に上昇した。
これは世界中で新型コロナウイルスのパンデミック(大流行)によるロックダウンが始まり、高級品の売り上げが急増した時期と一致している。24年の業績を発表した今月14日には時価総額が一時3000億ユーロに達した。
一族は欧州で最も裕福で、エルメスは高級品業界で「別格」と評される。
1837年に工房を立ち上げた馬具メーカー、エルメスの子孫たちに訪れた幸運は、ファミリーオフィスであるクレフェルト・インベストを通じて、拡大する富の一部をぜいたく品から多角化する動きとも重なっている。

エルメスは、昨年の業績に対して過去最高となる1株当たり26ユーロの配当を支払う予定。1株10ユーロの特別配当が含まれる。
4月30日の年次株主総会で株主の承認を得る必要があるが、1株当たり25ユーロだった前年の配当額を上回り、22年の2倍の水準となる。22年の配当も前年に比べ3分の2近く増えていた。
パンデミック以前は定期的に1株当たり5ユーロの特別配当を実施していたが、売上高が毎年記録を更新するに伴い、配当も増え続けている。
原題:Hermes in ‘League of Their Own’ as Family Gets $5 Billion Payout(抜粋)
--取材協力:Devon Pendleton.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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