(ブルームバーグ):シンガポールの投資ファンド、3Dインベストメント・パートナーズが投資先のサッポロホールディングスの過去の海外買収が失敗したと批判した上で、取締役会の責任の在り方を厳しく問う質問状を送付したことが18日、分かった。
3DがサッポロHD取締役会宛てに同日付で送付した書簡をブルームバーグが確認した。
具体的には、サッポロHDが2022年に買収したクラフトビールの米ストーン・ブリューイングについて、25年1月に139億円の減損損失の計上を発表した点について、取締役会として「この減損損失を防ぐために具体的にどのような措置を講じてきたか」と質問。
また、ストーン・ブリューイングを含め、過去に失敗した買収案件について「経営陣の誰かに対して責任を追及したか」「現在の取締役の中に失敗の責任を負う者はいるか」など、取締役会の機能発揮に疑問を投げかける内容となっている。
3Dによる質問状は、東京証券取引所が資本コストや株価を意識した経営を上場企業に求めたことで、日本でもアクティビスト(物言う株主)が攻勢を強めている動きの一環だ。3DはサッポロHDに対し、コア事業である酒類事業の業績不振を不動産事業が覆い隠しているとして、子会社のサッポロ不動産開発を切り離すべきだと訴えていた。
サッポロHDは14日、中長期戦略を発表し、昨秋に募集を始めた不動産事業への外部資本注入に関する提案が国内外のファンドや事業会社十数社から集まったと明らかにした。
3Dは質問状で、今後、不動産売却によって得られる巨額な資本を再配分するにあたり「合併・買収(M&A)の評価プロセスや資本配分の意思決定プロセス、担当人員にどのような変更を加える予定か」とも尋ねた。
サッポロHDと3Dからのコメントは得られていない。ブルームバーグのデータによると、3DはサッポロHD株式の19%超を保有する筆頭株主。
サッポロHDは17日、3月に予定している定時株主総会を巡り、取締役会として3Dが提案していた元東芝社外取締役のポール・ブロフ氏の取締役選任について反対を決議したと発表していた。
--取材協力:吉田昂.
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