大手生命保険4社の2024年4-12月期決算(9カ月累計)で、住友生命保険を除く3社が計約4671億円に上る国内債券の売却損を計上したことが分かった。国内金利が上昇する中、運用ポートフォリオの改善を図る過程で損失が顕在化した。

各社の決算資料などによると、国内債の売却損は日本生命保険が約2200億円、第一生命保険が1925億円、明治安田生命保険は約546億円。前年同期は第一生命が57億円の売却益、明治安田が約8000万円の損失となっていた。日本生命は24年3月期全体で約1500億円の損失を計上していた。住友生命は非開示。

日本銀行が追加利上げに動く中、国内債券の利回りは上昇(価格は下落)。指標である10年国債利回りは18日、1.4%と約15年ぶりの高水準となった。価格下落などにより保有債券の含み損が拡大する中、低利回りの債券を売却して比較的高利回りの債券の積み増しを進めた結果、損失計上につながった。

ただ、国内債の含み損は、昨年12月末時点で日本生命が2兆5311億円、第一生命が1兆3764億円、住友生命が1兆842億円、明治安田が9389億円と規模が大きい。それぞれ6月末から9月末にかけて縮小したが、12月末では再び拡大に転じた。

<大手生保の国内債券含み損>

一方、4-12月期の各社グループ全体の基礎利益は、日本生命が前年同期比43%増の6897億円と過去最高を記録。第一生命ホールディングスが同27%増の4338億円、住友生命は同62%増の2400億円だった。明治安田は同7.8%増の3774億円となり、通期見通しを増益に転換した。

基礎利益は保険関係の収益など保険事業のもうけを示すもので、資産運用収支のうち保有する有価証券の利息や配当金収入の増加が貢献した。含み益が膨らんだ国内外の株式売却益により、各社は債券の売却損をカバーした上で経常利益を確保した。

(5、6段落に詳細や説明を追加して更新します)

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