(ブルームバーグ):MS&ADインシュアランスグループホールディングスの株価が17日、一時前営業日比5.1%安の3097円まで下落し、昨年9月以来の安値を付けた。損保3社が先週発表した決算で、今期(2025年3月期)業績を据え置いたことが嫌気されMS&ADとSOMPOホールディングスの2社の株に売りが出ている。
松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは、東京海上ホールディングスが業績を上方修正した一方、MS&ADやSOMPOが業績を据え置いたことから「肩すかし」を食らった状況だと指摘。SOMPOの株価も一時3.7%安の4185円と続落した一方、東京海上Hは同3.0%高の5197円と反発した。
MS&ADの決算内容については、モルガン・スタンレーMUFG証券の竹村淳郎アナリストらがリポートで「第2四半期で上方修正された会社計画に対する上振れを示唆する内容であり印象が良い」としながらも、「ESR(経済価値ベースのソルベンシー比率)の低下を踏まえれば、通期決算に向けて大規模な追加還元に対する期待は相対的に高まりにくい可能性がある」との見方を示した。
ESRはリスクに対して十分な資本を確保しているかを示す指標。MS&ADではESRの目標レンジを180%から250%としており、目標レンジ上限を恒常的に超過する場合などが追加的な株主還元を検討する目安としている。
竹村氏らはリポートで、第3四半期でのESRが230%となり、「第2四半期決算時点の241%から大きく低下していた点は意外感があった」と指摘。「株式の売却を進める一方でリスク性資産に対する再投資を積極的に行ったことが一因とみられる」と分析した。
MS&ADの第3四半期累計の連結純利益は前年同期比2.2倍の6261億円。通期計画に対する進捗(しんちょく)率は99%に達した。SOMPOは同18%増の3819億円と進捗率は95%となった。一方、東京海上Hは今期純利益を従来予想の8800億円から前期比44%増の1兆円へと上方修正した。
SMBC日興証券の村木正雄シニアアナリストはリポートで、業績予想を再度上方修正した東京海上Hはポジティブと指摘。MS&ADやSOMPOの決算も順調としたが、株価のバリュエーションでは東京海上H株に割安感があるとの見方を示していた。

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.