米ベインキャピタルは17日、富士ソフトに対して検討していた株式公開買い付け(TOB)を断念すると発表した。富士ソフトを巡っては、米KKRが1株9850円でTOBを実施中で、ベインの撤退表明によりグローバルファンド2社による異例の買収合戦が区切りを迎える見通しとなった。

発表資料によると、ベインは富士ソフト創業者の野澤宏氏と相談の上、同社や同社株主の利益も熟慮して対応方針を検討してきた結果、KKRを上回るTOB価格の引き上げを行わず、断念する結論に至ったと説明。撤退に当たり、新たな株主の主導により「刷新されるガバナンスの下での富士ソフトのさらなる成長を願っている」とコメントした。

ベインは昨年9月にKKRに対抗する形で富士ソフトに買収意向を表明。約6カ月にわたりTOB実施を模索してきた。

富士ソフトを巡っては、KKRが同社の賛同を得て1株9451円でTOBを実施の最中、ベインが昨年12月、これに対抗する形で、会社側の同意の有無にかかわらず1株9600円でTOBを実施すると発表。KKRは今月4日、実施中のTOBの価格を1株9850円へとベイン案を上回る価格に引き上げた。

これを受けて、ベインは10日、2月上旬に実施を予定していた富士ソフトに対するTOBをいったん中止し、今後の対応方針について、撤退も含めて慎重に検討すると表明していた。

富士ソフトの株価は前営業日までKKRのTOB価格を上回って推移していたが、17日の後場の取引では、9836円と同価格を下回った。KKRのTOB期限は19日まで。

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