(ブルームバーグ):国内石油元売り大手のENEOSホールディングス傘下で、4000億円規模と大型化する見込みのJX金属(東京都港区)の東京証券取引所上場が今週にも承認され、例年2月に発表が増える新規株式公開(IPO)ラッシュが今年も幕を開けそうだ。
事情に詳しい関係者によると、半導体用材料で世界シェアの約6割を持つJX金属は3月19日に東証プライム市場に新規上場する見通しで、株式の売り出しを通じ最大4600億円の資金調達が見込まれている。過去1年では昨年10月に上場した東京地下鉄(東京メトロ)をしのぐ最も大きなIPOとなり、2018年上場の国内通信大手のソフトバンクに次ぐ規模になる見通しだ。
過去10年にわたるブルームバーグのデータによると、1年の中で2月は11月に続きIPOの発表が多く、1カ月間で発表される案件の平均は16件となっている。今年も2月に入り、人材獲得ソフトウエアのTalentXが東京証券取引所グロース市場、インターネット広告のメディックスがスタンダード市場へそれぞれ3月に上場するスケジュールが既に発表された。

2月にIPOの発表が相次ぐ理由の一つとして、多くの日本企業が3月に決算期末を迎えるため、その前にIPOの実現を急ぐ傾向がある。また、1月は正月休みや祝日で営業日数が少ないため、上場予定企業が投資家への十分なマーケティング期間を確保するため、後ずれしている面もある。
24年は東京メトロやフラッシュメモリー製造のキオクシアホールディングス(旧東芝メモリ)、放射線機器のリガク・ホールディングスなど大型IPOが相次ぎ、IPOによる資金調達総額は約9620億円と6年ぶりの高水準に達した。この中には、米カーライル・グループや韓国のMBKパートナーズなどプライベートエクイティー(PE)投資会社が株式の売却で利益を得るエグジット案件も含まれる。
UBSグループでアジア太平洋の株式資本市場部門の責任者を務めるアーロン・オー氏は、PE投資会社などスポンサーによる出口戦略は注目されるテーマの一つだと指摘。今年も「さらに多くのIPOが見られるだろう」と予想している。
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.