(ブルームバーグ):米証券取引委員会(SEC)は、米上場企業が年次株主総会での株主提案に関する投票を阻止しやすくする新たな指針を発表した。
SECが12日に公表した法律意見によれば、新指針では、株主提案が企業の総資産、純利益、総売上高の5%以上に影響を与えるかどうかを規制当局が判断する。SECの規則では、企業は事業への経済的関連性のない問題に関する提案を除外するため「ノーアクション」レターを同委に申請できる。
重要な社会問題や政治問題に関する株主提案を企業が除外することは、ゲンスラー前SEC委員長の就任当初に発表された指針で難しくなった。その結果、雇用における多様性や労働慣行、環境、持続可能なサプライチェーンなどに関する議案の投票が増加。これらの問題に関する企業の方針に異議を唱える保守的なシンクタンクや政策グループからの提案も増える形となっていた。
SECは、新指針の下で株主は「引き続き、社会的または倫理的な問題を提起することができる」とした上で、経営陣に却下されないためには、それらの問題を企業の事業に重大な影響を与えるものとして関連付ける必要があると説明した。
今回の指針は、2025年の年次株主総会シーズンのただ中に発表された。米企業の間では、DEI(多様性、公平性、包括性)に関する取り組みの廃止や縮小の動きも増えている。
SECの民主党委員キャロライン・クレンショー氏は発表文で、新指針のタイミングを批判。年次株主総会シーズンのピークを控えた時期での変更は企業が提案除外に向けてノーアクションレター申請を再調整する新たな負担になると指摘。さらに大きな影響を受けるのは株主だとし、今年の提案を新指針に沿う形で再調整できない株主が大部分に上るだろうと述べた。
原題:SEC Eases Path for Companies to Nix Shareholder Proposals(抜粋)
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