プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資事業にとって厳しい環境の中で、オルタナティブ資産運用会社KKRが勢いを見せている。北米のバイアウトファンドで資金調達目標200億ドル(約3兆1000億円)の半分以上を達成した。

KKRの北米PEファンドは、月内にも見込まれる最初の募集締め切りを前に約140億ドルを集めた。非公開情報だとして関係者が匿名を条件に明らかにした。

KKRは昨年6月、過去最高額となる200億ドルの調達を目標に、14本目の北米向けファンドの募集を開始した。前回のファンドは190億ドルを集めた。

ファンドは通常、最初の募集終了後に資金集めを続けながら投資を開始することができる。募集をいったん打ち切ることは、リミテッドパートナーと呼ばれる投資家からの需要について市場にシグナルを送る役割も果たす。

KKRの広報担当者はコメントを控えた。

KKRのPE投資事業は、業界にとって困難な数年間を無難に乗り切ってきた。金利上昇で評価額が下がり、支払った金額より低い価格での売却を敬遠する傾向から投資先企業の売却が難しくなっている。

その結果、年金基金などの米国を拠点とする既存投資家に資金を還元できず新たな投資を募ることが難しくなり、資金力のある中東やアジアの投資家への注目が高まっている。

昨年10-12月(第4四半期)の決算報告によると、KKRのPE事業は同年末までの1年間に14%のリターンを上げ、同社事業の中でインフラ部門と並んでトップクラスの業績を収めた。

KKRは、多くの同業他社がバイアウト、つまり企業の経営権を握る取引への期待を低下させている中でPE事業に傾倒している。

同社はウォーレン・バフェット氏が率いる米投資・保険会社バークシャー・ハサウェイのビジネスモデルを手本とし、10年から20年の保有を目的とした投資部門、いわゆる戦略的保有部門を約1年前に設立。

同部門は現時点ではまだ小規模だが、今後10年間で1株当たり利益を4倍以上に増やすというKKRの計画の重要な一角を占めている。

原題:KKR Nears $14 Billion for Buyout Fund in Show of Momentum(抜粋)

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