アルファベット傘下のグーグルとソフトバンクグループのビジョン・ファンドは、量子コンピューティングの実用化を目指すスタートアップ、QuEra Computing(クエラ・コンピューティング)の2億3000万ドル(約350億円)規模の資金調達ラウンドに参加し、同社の新たな投資家となった。

グーグルやソフトバンクGといったスタートアップ投資家は、空想的な科学実験とされることが多かった量子コンピューティングで、現実世界への幅広い応用に近づいていると見込んでいる。

クエラのアンディ・オリー暫定最高経営責任者(CEO)は今回の資金調達ラウンドについて、一連の技術的課題をクリアしてから投資家から打診があり、「数週間」という短期間にまとまったと述べた。同社によると、新たな調達資金のうち6000万ドルは、一定の技術的節目の達成が支払いの条件となる。

量子コンピューターは、スーパーコンピューターで約10セプティリオン(1セプティリオンは10の24乗)年かかる計算を5分で処理することができる。グーグルの新しい量子コンピューターといった進歩もあり、量子コンピューティングはテクノロジー業界でますます重要な話題になっている。

オリー氏は量子コンピューティング業界に対する熱狂について、数年前と現在では「雲泥の差」だと表現した。

2018年にマサチューセッツ工科大学(MIT)からスピンオフし、米ボストンを本拠とするクエラは、日本の産業技術総合研究所(AIST)などから、数千万ドル規模の契約を獲得したと表明している。

同社は今回調達した資金を活用し、年末までに人員をほぼ倍増して約130人とする計画。主に科学者やエンジニアを採用する方針だ。

過去に約5000万ドルを確保しているクエラの企業価値は、今回の資金調達時に7億5000万-10億ドルと評価されたと、事情に詳しい関係者が非公開情報を理由に匿名で明らかにした。同社は評価額についてコメントを控えた。

原題:Google, SoftBank Back Quantum Startup QuEra in $230 Million Deal(抜粋)

--取材協力:Jane Lanhee Lee.

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