(ブルームバーグ):中国の人工知能(AI)スタートアップ、DeepSeek(ディープシーク)が台頭したことを受け、投資家の間では中国の代表的なインターネット関連銘柄を再評価する動きが広がっている。
中国のテクノロジー企業とその株価は、同国経済を巡る懸念を背景にさえない状態が続いてきたが、AIモデルがゲームチェンジャーになるとの声が高まっている。
既にアリババグループの株価は先週、そうした期待を背景に大幅に上昇。香港上場の中国テクノロジー銘柄で構成されるハンセンテック指数は、7日に強気相場入りした。
GAMインベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ジエン・シー・コルテシ氏は「中国の大手インターネット企業に対する投資家の評価は『リスクについて考えること』から『潜在力について考えること』へと焦点が移る可能性がある」と指摘。
「特にこれら企業のバリュエーションが米国の同業と比べて大幅に割安であることを踏まえると、これは前向きな話だ」と述べた。
近く行われる決算発表時には、AIモデルの進展やクラウドサービスへの需要に関する経営陣の発言が株価を動かす材料となり得る。こうした企業の株価は歴史的にも割安な状態が続いており、オプション市場では中国テクノロジー株を選好する動きが活発化している。

ハンセンテック指数は先週9%上昇したが、予想株価収益率(PER)は17倍未満にとどまる。ナスダック100指数は27倍だ。ハンセンテック指数自体の5年平均PERは25倍で、それも下回っている。
中国テクノロジー株のPERは弱い内需のほか、電子商取引事業やクラウド事業での競争激化の影響を受けてきた。米中間の地政学的緊張の高まりを背景に、中国株に対する投資意欲も既に世界的に減退している。
アルファレックス・キャピタル・マネジメント香港のマネジングディレクター、アレックス・アウ氏は「外国投資家の関心が乏しく、市場の流動性を欠いていることが、バリュートラップ(割安のわな) に陥った一因だ」と分析。
「ディープシークが中国テクノロジー企業に対する各国投資家の関心を再び、大幅に高めた。これはバリュエーション・ギャップの縮小に寄与するはずだ」と述べた。
新たなAIモデルを巡る熱狂はスタートアップだけにとどまらない。アリババはディープシークがAIモデルを披露したわずか数日後に、より高性能だと自社が評するAI最新モデルを発表した。香港上場のアリババ株は先週13%上昇した。

原題:DeepSeek Sparks Hope for Renaissance in China’s Tech Megacaps(抜粋)
--取材協力:Winnie Hsu、Henry Ren、Cecile Vannucci、Subrat Patnaik、David Watkins.
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