(ブルームバーグ):三井住友フィナンシャルグループ(FG)とSBIホールディングス(HD)が、準富裕層クラスを主な対象とした顧客向けにデジタルを通じた資産管理(ウェルス・マネジメント)サービスを提供する新会社の設立を検討している。複数の関係者が7日、明らかにした。
関係者らによると、新会社には三井住友FG傘下の三井住友銀行とSMBC日興証券、SBIHD傘下のSBI証券の3社が出資する。出資額や出資比率などの詳細を最終調整しており、早ければ年度内にも新会社の設立を発表する。
三井住友FGはSBIHDに約9%出資する筆頭株主。個人向けデジタル金融サービスで業務提携しており、SBI証などと提携して2023年から携帯アプリを通じた総合金融サービス「Olive(オリーブ)」を展開している。銀行口座やクレジットカード決済、証券や保険など幅広いサービスをワンストップで提供し、ポイント還元策も充実させて「オリーブ経済圏」を構築してきた。
「貯蓄から投資へ」の流れが進む中、今後、資産形成に一定の成功を収めた準富裕層以上を対象としたビジネスは拡大が見込まれる。新会社はSMBC日興が対面営業で培ってきたウェルス・マネジメントサービスをオリーブと掛け合わせ、これまでオリーブが主な対象としていなかった準富裕層クラスの顧客を取り込む。SMBC日興は新会社を通じてオリーブ経済圏に初めて参画することになる。
具体的なサービスは検討中だが、資産運用や資産管理についてオリーブのスマホアプリで相談に応じるなどの案がある。オリーブではクレジットカード大手の三井住友カードも中心的役割を担っており、決済機能を掛け合わせたサービスも想定される。
新会社の設立について三井住友FGの広報担当者は、個別案件に関する照会については回答を差し控えるとした。SBIHDの広報担当者はコメントを控えた。
大和総研の推計では、国内で金融資産5000万円以上の準富裕層以上の世帯比率は2019年11月時点の5.0%から35年度末には6.1%に上昇し、保有資産も24年度末の713兆円から35年度末には953兆円への増加が見込まれる。
オンライン証券が株式売買手数料の引き下げによって口座数を増やす中、対面証券各社は顧客との信頼関係を基盤にライフプランに応じた資産運用を提案する資産管理型ビジネスへの事業転換を進めている。顧客獲得を巡る競争は厳しさを増している。
一方、オンライン証券が手数料無料化を進める中において「富裕層がどんどん入り込んでいる」とSBIHDの北尾吉孝会長兼社長は昨年5月の会見で説明。国内株式などで1億円以上の大口取引が増加しているという。専門家による助言などの高付加価値サービスで収益機会を拡大する余地が高まっている。
楽天証券も資本業務提携するみずほ証券と合弁で「MiRaIウェルス・パートナーズ」を設立し、昨年4月から事業を開始。世帯金融資産2000万円以上の顧客層を主なターゲットとして、楽天証の顧客で対面ニーズのある40ー50代などの取り込みを図っている。
--取材協力:佐野七緒.
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