7日の日本市場で債券相場は下落。長期金利は約14年ぶり、2年と5年国債利回りは2008年以来の高水準をそれぞれ更新した。日米首脳会談で円安の是正が議題に上ることへの警戒に加え、根強い日本銀行の追加利上げ観測が売り材料になった。

円相場は対ドルで一時2カ月ぶりの高値を付けた後、151円台後半へ反落。投資家の注目度が高い米国の雇用統計や日米首脳会談を前に持ち高を一方向に傾けづらく、ドルの下値を拾う動きが広がった。株式相場は円高が嫌気された輸出関連株中心に反落し、決算内容が失望された東京エレクトロンやニコンも安い。

SMBC日興証券の日本担当シニアエコノミスト、宮前耕也氏は日米首脳会談で貿易や関税に関して何か要求が出るか否かが注目されると指摘。仮に要求が出なくても、トランプ政権が2月中旬や4月以降に打ち出すと目されるグローバル関税の対象国に日本が含まれたり、貿易協定の見直しや新たな2国間交渉を迫られたりするリスクがあり、「油断できない」とみている。

債券

債券相場は下落。長期金利は約14年ぶりの1.3%に上昇した。日米首脳会談で円安是正が議論されるとの思惑が浮上する中、日銀の追加利上げ観測が高まった。利上げに対する感応度が高い2年や5年の中期債利回りは08年以来の高水準を更新した。日銀が実施した国債買い入れオペの結果が弱かったことも、午後の下げ幅拡大を促した。

SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジストは、日銀は1月の金融政策決定会合以降、市場の利上げ織り込みが前倒しされるようなタカ派的な情報発信を続けており、日米首脳会談が不透明な状況の中で中期債中心に売られたとの見方を示した。

一方、ベッセント米財務長官が10年国債利回りを重視しているため、米長期金利はそれほど上昇しないと述べており、海外金利と相関性の高い超長期債相場は底堅く、「イールドカーブのフラットニング(平たん化)取引は正しい」と話した。

日銀が7日に実施した定例の国債買い入れオペは、残存1-3年と3-5年の落札水準が売りの強さを示唆。SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは、中期ゾーンのオペ結果が弱く、日銀の利上げ継続観測で売りが強まったのではないかとみていた。

新発国債利回り(午後3時時点)

外国為替

東京外国為替市場の円相場は対ドルで151円台後半で推移。日銀の利上げ観測などを背景に一時150円96銭と2カ月ぶりの高値を更新した後、市場では事業会社や個人投資家のドル買い・円売りが入ったとの見方が出ていた。米雇用統計や日米首脳会談を前に午後は小動き。

りそなホールディングス市場企画部の井口慶一シニアストラテジストは「東京時間の仲値あたりから雰囲気が変わり、ドルに押し目買いが入るようになった。輸入業者のドル買いも入っているようだ」と分析。円は一時150円台に上昇したが、「米雇用統計や日米首脳会談などのイベントの前に150円割れまで試すのは欲張り過ぎ」と話した。

外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は「米国では労働関連統計が弱めで利下げ観測が浮上しているため、短期的には円高・ドル安が進みやすい」と指摘していた。

株式

東京株式相場は反落。外国為替市場で円が一時1ドル=150円台後半と2カ月ぶりの高値を付けたため、業績の先行き懸念から輸送用機器や精密機器など輸出関連株が安い。決算内容に基づく選別色も鮮明で、今期業績計画の上方修正を見送った東エレクが下げ、通期計画を下方修正したニコンは急落した。

三井住友トラスト・アセットマネジメントの上野裕之チーフストラテジストは、1ドル=150円に迫る円高は現状の企業業績にとって問題はないが、これ以上の円高は輸出企業にとって重荷になる可能性があると指摘。日米首脳会談も大きなイベントで、日本経済を考える上で重要だとも話した。

米雇用統計や日米首脳会談を控えていたことも投資家が積極的な買いを入れにくかった一因。一方、決算が市場予想を上回った回転ずし「スシロー」を展開するFOOD&LIFE COMPANIESやメルカリ、午後に利益計画を上方修正したSUBARUが急騰。東海東京インテリジェンス・ラボの杉浦誠司シニアアナリストは、スバルへの買いは上方修正に加え、総還元性向と株主資本配当率(DOE)の合わせ技と分析した。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:横山桃花.

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