(ブルームバーグ):米アップルは中国を最大の製造拠点、米国を最大市場としている。同社は今、激化するこの2国間の地政学的対立に巻き込まれ、関税や規制当局による調査といったリスクに直面している。
トランプ政権は中国からの輸入品に10%の追加関税を賦課した。アップルはiPhoneの低調な売り上げや人工知能(AI)分野での出遅れなどで既に苦戦を強いられており、追加関税は一段の逆風となる。
その上、関係者によれば、中国の国家市場監督管理総局はアップルがアプリ開発業者に課す手数料と商慣行を巡って調査を検討している。
スマートフォンで競合する韓国のサムスン電子は、アップルと異なり、大半をベトナムやインドなど中国以外で生産している。貿易戦争の影響は米中以外にも広がる可能性が高いが、製造拠点の違いはサムスン電子の方が関税の影響を受けにくいことを意味する。
アップルは第1次トランプ政権時には、アイフォーンの関税適用除外を申請して認められたが、今回も同様の結果となるかは分からない。トランプ大統領はまた、台湾製を含む半導体に関税を課す意向も示している。アップルは大半のプロセッサーを台湾から調達しており、この問題もマイナス要素となり得る。
アップルはここ数四半期、中国での販売が減少しているが、一段と厳しい状況に追い込まれかねない。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のテクノロジーアナリスト、アヌラグ・ラナ氏は「大きな問題はアップストアを対象とした調査だ。アップルにとって最も収益性の高い事業の一つであり、中長期的に問題となる」と指摘する。
これまでのところウォール街からは、関税がアップルの利益に大きな影響を及ぼすといった予測は聞かれていない。エバコアのアナリスト、アミット・ダリアナニ氏は1株当たり利益を3-4%押し下げる可能性があるとの試算を示している。
しかし、関税はさらなる頭痛の種であり、アップルが米国を含む他の国で生産を拡大する取り組みの緊急性は増した。
アップルの株価は年初から5日までに7%余り下落している。
同社の広報担当者はコメントを控えた。
原題:Apple’s China Focus Thrusts It Into Center of Geopolitical Fight(抜粋)
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