石油・ガス業界の業界再編が進み新たな投資対象が求められていることや、天然ガス価格の上昇を背景に、今年に入りエネルギー業界の新規株式公開(IPO)が持ち直しつつある。

ここ数年、エクソンモービルによるパイオニア・ナチュラル・リソーシズ買収や、コノコフィリップスのマラソン・オイル取得など米石油大手による企業の合併・買収(M&A)が相次ぎ、この分野の投資対象が乏しくなりつつある。

さらにクラウンロックがオキシデンタル・ペトロリアムに買われるなど、非公開企業も買収対象とされてきた。シェブロンはヘスの買収完了を目指している。

ピカリング・エナジー・パートナーズの最高投資責任者(CIO)、ダン・ピカリング氏はインタビューで、「エネルギー投資家はここ1年半の間に多くの企業を失った」と述べ、「統合により投資家が分散投資先やユニークな投資先を見つけるのは難しくなった」と説明した。

同氏はまた、フローコ・ホールディングスなど最近のエネルギー関連企業の上場もこの分野の見通しを明るくしているとし、「これらはすべて、今後も成長を続ける可能性のあるディールマーケットに寄与するだろう」と指摘した。

天然ガス企業

M&Aが続く一方で、エネルギー関連企業のIPOは昨年減少。年間で6社にとどまり、合計のIPO規模は6億6700万ドル(約1020億円)と2003年以来の低水準となった。

しかし、今年に入ってフローコやインフィニティ・ナチュラル・リソーシズ、ベンチャー・グローバルがIPOを実施するなど回復の兆しがみられる。

天然ガス関連企業にとっては、ガス価格上昇も追い風となっている。原油価格が横ばいだったのに対し、天然ガスはここ1年で約60%値上がりした。

ロス・キャピタル・パートナーズのアナリスト、レオ・マリアニ氏は「天然ガス関連の新興企業に対する市場の需要は妥当だ」とし、「ここ数カ月、エネルギーセクターではかなりの注目トレンドの一つとなっている」と語った。

未公開のエネルギー企業数社が近くIPOを実施する見込みで、油田サービスのHMHホールディングはすでにIPO申請を行った。そのほかエーソン・エナジー・マネジメントなども候補となっている。

原題:Big Oil’s Wave of Buyouts Sets Up Next Leg of Energy IPO Rebound(抜粋)

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