(ブルームバーグ):米カリフォルニア州サンタモニカの人気ホテル「シャッターズ・オン・ザ・ビーチ」と「カサ・デル・マール」のオーナーは、隣接地に有名ブランドを冠した超高級住宅、いわゆる「ブランデッドレジデンス」を開発するため資金調達を目指している。
ホテルのオーナーであるエドワード・スラトキン氏とトーマス・スラトキン氏の兄弟は、アドバイザーのイーストディル・セキュアードと協力し、両ホテルの資産価値を約7億ドル(約1100億円)と評価する資本増強に取り組んでいる。事情に詳しい関係者が匿名を条件に明らかにした。
関係者の1人によると、隣接地は1億ドルと評価される可能性がある。
トーマス氏は電子メールで「この取り組みは、不動産の売却ではなく、価値を解き放ち、長期的な成長と継続的な成功のためのリソースを確保するための一歩だ」と説明。「プロジェクトには、ホテルに隣接する土地に350戸以上のブランデッドレジデンスを開発することが含まれており、不動産価値を大幅に高める」という。
「ホテルの運営と宿泊客ができる体験が、プロジェクトによって変わることはない」と同氏は強調した。イーストディルの広報担当者はコメントを控えた。
カリフォルニアのホテル業界ではここ数年、ホスト・ホテルズ・アンド・リゾーツによる2021年のアリラ・ベンタナ・ビッグ・サー買収など、評価額が1室当たり200万ドルを超える取引が幾つか行われている。シャッターズとカサ・デル・マールを7億ドルと評価する取引は、こうした水準を上回ることになる。
シャッターズはスラトキン兄弟が1990年代前半にサンタモニカのビーチフロントに土地を取得して開発した高級ホテル。兄弟は数年後、隣接するカサ・デル・マールも買い入れ改装。両ホテルには、ハリウッドスターが訪れるはやりのレストランもある。
24年の債務借り換えの際、計約330室の客室を持つ両ホテルは合わせて6億500万ドルの価値があると評価された。
オハナ・リアルエステート・インベスターズのパートナー、ジェームズ・コール氏は「カリフォルニア州沿岸部の希少な不動産が魅力的な評価額で取引された明確な前例がある」と指摘。
同社はモンタージュ・ヒールズバーグとモンタージュ・ビバリーヒルズという2つのホテルを売却しており、その際にも1室当たり200万ドルの値段が付いた。
ホテル物件の売買は近年低調で、買い手候補は金利高止まりを懸念し二の足を踏んでいる。しかし、市況が改善されつつあるとの楽観的な見方がこのところ、投資家の間で強まっている。
ハワイのハイアット・リージェンシー・ワイキキとマウイ島のグランド・ワイレア・リゾートの所有者は、売却の可能性を探っている。
原題:Santa Monica Hotels Said to Seek Valuation at $2 Million a Room(抜粋)
--取材協力:John Gittelsohn.
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