(ブルームバーグ):高市早苗自民党総裁の経済ブレーンの1人である本田悦朗元内閣官房参与は、日銀の利上げ時期に関して、今月の金融政策決定会合は難しいとする一方、12月会合の可能性はあるとの見解を示した。
本田氏は6日のインタビューで、日銀の利上げついて高市氏が慎重に進めてほしいと考えており「いつならいいとか、今はだめだとか言うことはない」と指摘。その上で、10月中旬ごろとみられている首相就任から間もない29、30日の会合で利上げに踏み切るのは、「さすがに難しい」と語った。

一方で、今後経済状況が大きく悪化しない限り、現在の0.5%程度の政策金利を0.75%程度に引き上げても問題は生じないとみている。「マクロ経済環境によるが、今のような環境であれば0.25%上げても問題ない。仮に12月にやるとしても、米国は心配だが、そんなに混乱しなければ大丈夫だろう」と述べた。
昨年に出版された高市氏の著書「国力研究」で経済分野の執筆を担当した本田氏の発言は、積極的な財政政策と金融政策で経済成長を目指す高市氏の下でも、将来的な利上げは排除されないことを示唆している。それでも、市場が従来想定していた早期利上げは後ずれを余儀なくされそうだ。
円安進行
4日の自民党総裁選での高市氏の勝利を受け、小泉進次郎農相を有力視していた市場は6日に大きく変動した。日経平均株価は前週末比で2000円を超える急騰を演じる一方、外国為替市場で円相場は一時1ドル=150円台半ばと8月1日以来の安値へ急落。一時70%近くまで上昇した10月会合での利上げ予想は、2割台に急低下した。
本田氏によると、円安進行が日銀の利上げの判断を複雑化させる可能性がある。円安は一般論として日本経済のサポート要因になるとしつつも、過度な進行は物価を高止まりさせてしまうとし、円安が「150円を超えたら、やや行き過ぎだろう」との認識を示した。
本田氏の発言を受けて、円は下落幅を縮小し、対ドルで一時149円80銭台まで戻した。記事配信前には150円台前半で推移していた。
高市氏は4日の記者会見で、物価高対策に注力していく方針を改めて表明した。防衛費など必要な投資には赤字国債の発行も選択肢とし、消費税減税も排除しない意向を示しており、積極財政とインフレ抑制のバランスが注目されそうだ。
共同声明
物価高に対する懸念が強まる中で、デフレ脱却を目指して政府と日銀が2013年に公表した共同声明の取り扱いも焦点となる。大胆な金融政策を掲げたアベノミクスの象徴とも言えるが、高市氏は会見で、「今のアコードがベストなものかどうかしっかり考えていきたい」と語った。
本田氏は、共同声明の「変更を急ぐ必要はない」と主張。安易な変更によって声明における重要な部分までが変わってしまう恐れがあるとし、2%の物価安定目標の実現が引き続き重要な状況の中で、「それをきちんと書いておかなければいけない」と語った。
高市氏がトランプ米大統領と親交の深かった安倍晋三元首相に近いことから、良好な日米関係を築くことが可能とみている。本田氏は、トランプ大統領は安倍元首相が好きだったとし、「高市氏はトランプ大統領と良い関係を作ることができると思う。石破茂首相は安倍氏と親しい関係ではなかった」と語った。
(本田氏の発言や為替市場の反応を追加して更新しました。第1段落の本田氏の名前は訂正済みです)
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.