(ブルームバーグ):暗号資産(仮想通貨)ビットコインが5日の取引で最高値を更新した。米政府機関の閉鎖を背景に、いわゆる「ディベースメント取引(通貨価値切り下げトレード)」が勢いを増し、投資家の資金は安全資産へと向かっている。ビットコインが最高値を更新するのは8月半ば以来。
ブルームバーグがまとめたデータによると、ビットコインは週末に一時12万5689ドルに上昇。ニューヨーク時間6日の取引でも12万5000ドル近辺で推移し、最高値圏を維持している。
10月1日に始まった米政府機関閉鎖と時期を同じくして、ビットコインの上昇は進んだ。安全と見なされる資産への需要が強まったことが背景にある。政府機関閉鎖により、雇用統計など主要経済指標の発表が延期された。金相場も続伸して最高値を更新している。
FxProのチーフ市場アナリスト、アレックス・カプシケビッチ氏は6日付のリポートで、週末に暗号資産市場の流動性が低下し、それがビットコインの上昇モメンタムを後押しした可能性が高いと分析。「7月と8月にも同様のパターンが見られた」と記した。
ブルームバーグがまとめたデータによると、先週は米国の12本のビットコイン上場投資信託(ETF)に計32億ドル(約4800億円)が流入し、2024年の開始以降で2番目の規模となった。またブラックロックのビットコイン現物投資型ETF、iシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)のオープンインタレスト(未決済建玉)は、3日に過去最高の498億ドルに達した。

ファルコンXの調査責任者デービッド・ワラント氏は、暗号資産デリバティブ取引所デリビットとIBITを合わせた建玉総額は現在800億ドルに迫っており、2024年初めの約10倍に膨らんだと指摘。その大半は直近6カ月で増加したという。
「オプション市場の動きが、かつてないほど現物市場の価格動向に影響している可能性が高い」と同氏は述べた。
BTCマーケッツのアナリスト、レイチェル・ルーカス氏は、今後は13万5000ドル付近が上値抵抗線となりそうだとしつつ、モメンタムが維持されれば15万ドルも視野に入ると予想。「ただレバレッジが積み上がっており、急反転すればボラティリティーが高まる可能性がある」と述べた。

ルーカス氏はさらに、オプション市場は建玉の60%超がコールオプションで占められており、「強気に傾いている」と指摘。「これは強い確信を示す一方で、モメンタムが失速した場合には清算の連鎖を招くリスクが高まる」と付け加えた。
原題:Bitcoin’s Record Rally Fueled by Growing Bets in Options Markets(抜粋)
--取材協力:Emily Nicolle.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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