(ブルームバーグ):トランプ米大統領の関税の脅威を先週、真剣に受けとめていた向きが金融市場の一角に存在した。投機筋だ。
ヘッジファンドは5週連続で米国株を売り越した。先週は中国の人工知能(AI)スタートアップ、DeepSeek(ディープシーク)の脅威や米国の主要貿易相手国に追加関税を課すとするトランプ氏の表明を受けて、市場に波紋が広がっていた。ヘッジファンドは単一銘柄の空売り、およびマクロ商品のロングポジション解消を増やした。ゴールドマン・サックス・グループのプライムブローカレッジがまとめたデータで明らかになった。
ヘッジファンドは広範な市場の下落を正しく予測していたことが、こうした動きからうかがえる。トランプ氏はカナダとメキシコ製品の大部分に25%の関税を賦課する方針を示していた。S&P500種株価指数は週間ベースで1%値下がり。ゴールドマンのストラテジスト、デービッド・コスティン氏は、関税が発効すれば、S&P500種は5%下落するリスクがあると指摘した。
トランプ氏が気まぐれに関税の脅威をちらつかせる傾向があることを踏まえると、これは安全な賭けではなかった。同氏は2月1日に発動すると発表する以前は、就任初日に賦課すると何カ月にもわたって約束してきた。
例えば、個人投資家は、トランプ氏が経済や市場を関税がもたらすとされる影響でリスクにさらすことはないと考えていたようだ。JPモルガン・チェースのグローバルクオンツ・デリバティブ担当ストラテジスト、エマ・ウー氏の分析によれば、リテール投資家は1月31日に21億ドル(約3240億円)を米国株に投じた。20億ドルを超える資金流入は過去3年間に9回しか起きておらず、そのうち5回は2025年に既に起きている。
ヘッジファンドはS&P500種の11業種中、9業種を売り越した。ヘルスケアと不動産については買い越しだった。想定元本ベースでは、一般消費財、資本財、金融、エネルギー、通信サービス、情報技術が大きな売り越しとなった。
原題:Hedge Funds Bailed From US Equities Ahead of Trump Tariffs(抜粋)
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