記事のポイント
・トランプ米大統領は2月1日、カナダ、メキシコ、中国に対し追加関税を賦課する大統領令に署名
・3カ国は対抗措置へ、それに対し米国はさらなる税率引き上げの意向、関税引き上げ応酬の恐れ
・米関税引き上げとカナダ、メキシコの報復は経済や市場にマイナスだが2月4日までの動向に注目
トランプ米大統領は2月1日、カナダ、メキシコ、中国に対し追加関税を賦課する大統領令に署名
トランプ米大統領は2月1日、カナダとメキシコからの輸入品に25%、中国からの輸入品に10%の追加関税をそれぞれ賦課する大統領令に署名しました。今回は、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき、不法移民と違法薬物の流入を国家の緊急事態と認定、大統領権限によって関税が発動されました。米議会調査局によると、関税措置実施にあたり事前調査を必要としないIEEPAを根拠とする関税引き上げは、初めてのケースになるとのことです。
トランプ氏は1月31日、関税が輸入物価に転嫁される影響についての記者団からの質問に、「短期的な混乱が起こるかもしれないが、人々はそれを理解するだろう」と答え、「関税はインフレではなく、成功を引き起こす」と述べました。そして翌日早々に、IEEPAを根拠とする関税引き上げの大統領令に署名したことを踏まえると、経済的なリスクをある程度承知の上で、カナダ、メキシコ、中国に強硬な姿勢を示したものと考えられます。