3日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=155円台後半に下落。トランプ米政権のカナダなどに対する追加関税を受け、世界経済への影響や米国のインフレ加速への警戒感からドルが全面高となっている。

あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、トランプ関税や実需のドル買いで全般的にドル高となっていると指摘。「きょうはドル買いが強いとみているが、関税は株安への影響が大きく景気悪化の要因で、リスクオフの中では円はそれほど売られにくい」と述べた。

トランプ米大統領は1日(日本時間2日)、カナダとメキシコからの輸入品に25%、中国からの輸入品に10%の追加関税をそれぞれ賦課する大統領令に署名した。関税発効は4日午前0時1分。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は1%超上昇し、米S&P500種株価指数先物は一時2%余り下落。カナダ・ドルは対ドルで2003年以来の安値に下落し、メキシコ・ペソは約3年ぶり安値を付けた。

三菱UFJ信託銀行資金為替部マーケット営業課の酒井基成課長は、政治的な意味合いでトランプ関税に対し報復せざるを得ず、今後も断続的にヘッドラインが出て市場が振らされる可能性があるとみている。「リスクセンチメントの動向が重要で、きょうは株価をにらみながらリスクオフ優勢の展開」との認識を示した。

円は対ドルで下落する半面、メキシコ・ペソやカナダ・ドル、ユーロなどドル以外の主要通貨に対しては上昇している。SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は、トランプ関税を受けて報復合戦となると世界経済に相当な悪影響を与えると懸念され、リスクオフの円買いと説明した。

日本銀行が追加利上げを決めた1月23、24日の金融政策決定会合では、先行きも経済・物価が見通しに沿って推移すれば、利上げを続けて大幅なマイナスにある実質金利を縮小していく必要があるとの意見が出た。「主な意見」を3日に公表した。予想通りタカ派的な意見が示されたが、円相場への影響は限定的だ。

あおぞら銀の諸我氏は、従来通り経済と賃金はオントラックで状況を見て緩和度合いを調整していくとし、利上げ時期ははっきり示していていないと分析した。

 

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