(ブルームバーグ):米シカゴ・オプション取引所(CBOE)ボラティリティー指数(VIX)のコールオプション(買う権利)を先週、安く取得していたトレーダーは、週明け27日の世界的なハイテク株安の影響をある程度、防御できた。この日はエヌビディアの時価総額だけで5890億ドル(約91兆円)減少した。
先週にVIXが1カ月ぶりの低水準となる15を割り込んだことを受け、VIX上昇に賭けるコールの需要が急増。満期日2月22日と同23日のコールが計20万枚余り買われた。Cboeグローバル・マーケッツによると、コールが買われたことで、プット(売る権利)に対するコールのプレミアムを示すスキューが過去最高水準に接近した。

ウォール街の恐怖指数として知られるVIXは27日早くに上昇して22を上回った。中国の人工知能(AI)新興企業DeepSeek(ディープシーク)がAI分野で米国の優位性を直接脅かすとの警戒感から市場に混乱が広がり、一段の株安に備えるトレーダーがS&P500種株価指数のオプションを積極的に購入した。VIXは同オプションの変動率に基づき算出される。
先週は関税や原油価格に関するトランプ米大統領の発言があったほか、29日には米金融政策決定を控えているが、市場では材料視されなかった。またオプション市場では、決算報告を控えた大手ハイテク企業について比較的小幅な値動きが予想されていた。
サスケハナ・インターナショナル・グループのデリバティブ(金融派生商品)戦略共同責任者クリス・マーフィー氏「先週はVIXコールでかなりの買いが確認されたが、単にボラティリティーが低かったことが要因だった」とした上で、「ボラティリティーの低さを利用してVIXコールを日和見的に購入していた層が市場にいたということだ」と指摘した。
原題:Traders Who Bought VIX Calls Last Week Get Protection From Rout(抜粋)
--取材協力:Elena Popina.
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