(ブルームバーグ):日本生命保険が海外事業部門を再編することが27日、分かった。米国などで2兆円規模の企業の合併・買収(M&A)を発表するなど積極的な海外展開を進めており、買収先などを統括する新たな組織を設置して海外部門の内部管理体制の強化につなげる。
複数の関係者によると、3月下旬に海外事業統括本部を新設し、これまでの海外保険事業部と海外アセットマネジメント事業部を同本部内に集約する。柔軟な人事異動や機動的な意思決定を狙う。また、海外ビジネス部門とリスク管理部門をつなぐ役割を果たす機能を新たに設け、海外事業に関わる法務やITインフラ、会計など横断的な管理の強化につなげる。
同本部の傘下に、買収を発表した米系生保のレゾリューションライフや持ち分会社の米生保コアブリッジ・ファイナンシャル、豪州子会社をそれぞれ担当するチームも新設する。
日本生命の広報担当者は海外事業の組織再編について、3月上旬に公表する予定だと述べた。
人口減少で国内保険事業の環境が厳しさを増す中、日本生命は昨年12月、約1兆2000億円を投じてレゾリューションを完全子会社化すると発表。コアブリッジの株式の2割も約6000億円で取得したほか、持ち分法適用の米運用会社TCWグループに800億円超を追加出資した。リスク管理体制強化の背景には、こうした海外での大型投資の成果を確実に生み出すとともに、過去の苦い教訓もある。
日本生命が2016年に約1800億円で買収した豪生保のMLCは、主力商品での支払い増加や新型コロナウイルス禍などによって経営難に陥り、3度の増資を余儀なくされた。日本生命は劣後債の引き受けも含めて、追加で900億円超の資金を投じたが、買収時の予見可能性や経営管理体制などに、株式会社の株主総会に当たる総代会でも疑問の声が上がった。
日本生命の清水博社長は昨年12月のレゾリューション買収の記者会見で、MLCに関して「内部統制が不十分だったということは正直ある」とした上で、「海外ガバナンス体制の高度化にゴールはない。引き続き、内部統制を高めていきたい」と述べていた。
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