フジ・メディア・ホールディングスの今週の株式売買高が先週の19倍に膨らんだ。タレントの中居正広氏と女性との性的トラブルに対する同社の対応を巡って顧客や株主の批判が強まる中、大量の売りが出た一方で、これをきっかけにガバナンスが改善するとの期待から買いも膨らんだとみられている。

フジHD株の今週の売買高は2億3780万株と過去最大になった。先週は1274万株だった。昨年の売買高合計をも56%上回る。同社の株価は今週13%上昇した。今回の事件が契機となり、同社の経営体制が変わってガバナンスが改善、企業価値も向上するとの期待感が背景にある。

「経営陣を含め大幅な刷新をアクティビスト(物言う株主)からも含めて求められており、何らかの回答が必要になるということだろう」と楽天投信投資顧問第二運用部の平川康彦部長は述べた。

売買高はこれまでの最高だった2005年3月の水準も大幅に上回った。この時は、堀江貴文氏が率いるライブドアが当時グループの中核企業だったニッポン放送株を大量に取得し、同社の買収を狙ったことから大商いとなった。同社は最終的には買収を断念、堀江氏はその後粉飾決算の容疑で逮捕され、ライブドアも上場廃止となった。

堀江氏は今週、今年の株主総会でフジの体質を改革するための提案を目指すとして、個人投資家にフジHD株を買うよう呼び掛けるとともに、自身も同社株式を購入したと話した。

アクティビストとされる米ダルトン・インベストメンツ系のライジング・サン・マネジメント(RSM)も、フジHDに2度書簡を送付し、フジの現経営陣を強く批判した。

フジHDは本業がテレビ広告市場の縮小もあって苦戦している一方、不動産の含み益が大きく株価が割安なため、アクティビストのターゲットになりやすいと市場関係者の間ではみられている。株価純資産倍率(PBR)は0.46倍と、民放5社の中で最も低い。

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