フジ・メディア・ホールディングスの社債のスプレッド(上乗せ金利)が過去最高水準に拡大した。元SMAPメンバーの中居正広氏のトラブルに傘下のフジテレビ社員が関与していたとの報道を巡って企業が相次ぎテレビ広告を差し止めるなど、フジHDの信用力への懸念が広がっている。

ブルームバーグのデータによると、2028年12月に満期を迎えるフジHD債のスプレッドは22日に約52ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と、前日の約37bpから急拡大。国債利回りとの格差を示す社債スプレッドは一般的に企業の信用力に応じて変動し、信用力が低下するとスプレッドは拡大する。

フジテレビを巡っては、中居氏の女性トラブルに同社社員が関与していたと一部週刊誌が昨年報道。中居氏は発表文でトラブルは事実だと認めた。17日のフジテレビ社長会見も疑問視され、トヨタ自動車やNTT東日本、第一生命保険、ソフトバンクなど数十社が同局向けCMを差し止めた。株主からの圧力による企業改革への期待も加わり株式市場でフジHD株が大きく動く中、ここにきて社債にも影響が出ている。

土屋アセットマネジメントの土屋剛俊社長は「年金基金などからポートフォリオの説明を求められる機関投資家が、コンプライアンス的に投資先から外す動きが出てきたのではないか」と指摘。買い手がいない中での需給悪化がスプレッド拡大の理由だとの見方を示した。

 

共同通信によると、フジテレビは23日に臨時取締役会を開き、独立性が担保される第三者委員会の設置を決議する見込み。この日は中居氏が芸能活動を引退することをファンクラブ向けのサイトで発表し、フジHDの株価は一時10%超急落。終値は7.8%安だった。

(3段落目に情報を追加し、最終段落の株価を更新しました)

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