(ブルームバーグ):億万長者アレックス・ガーコ氏のクオンツトレーディング会社、XTXマーケッツは、機械学習の利用拡大を支えるため、10億ユーロ(約1630億円)超を投じてフィンランドに5つのデータセンターを建設している。
ロンドンを本拠に複雑なアルゴリズムを用いて1日2500億ドル(約39兆円)相当の資産を取引するマーケットメーカー(値付け業者)の同社は、フィンランド中部のカヤーニ周辺にデータセンターハブを建設する予定だと、XTXが22日発表した。
それによると、来年完成見込みの最初のデータセンターは、床面積がサッカー場2面分に相当する1万5000平方メートルで、プロジェクト全体の完成には約5年を要する予定。
XTXは業界のトレンドである、計算処理ニーズを第三者が運営するインフラに委託する方式とは一線を画している。
最高技術責任者のジョシュア・リーヒ氏は、価格予測に機械学習を使用するという同社の取り組みにとっては、自社インフラの方が最終的にコスト効率が良く、容量を保証しやすいと説明している。
「自分たちで構築することで、ニーズに先んじて準備することができる。機械学習を利用して取引戦略を構築しているため、より多くの演算能力を活用することで最終的により高い利益を生み出せると確信している」と同氏はインタビューで語った。
フィンランドの涼しい気候は、他の企業からも同様の投資を呼び込んでおり、グーグルの親会社アルファベットも昨年、10億ユーロの投資を発表した。カヤーニには既に、世界最速クラスのスーパーコンピューター、欧州のLUMIが設置されている。
XTXマーケッツは株式や債券、為替、暗号資産(仮想通貨)などの取引を行う世界最大級のアルゴリズム企業。人工知能(AI)分野への意欲が旺盛なXTXは、機械学習の研究者向けの新部門を立ち上げ、AIモデルのトレーニングに頻繁に使用されるチップ、画像処理半導体(GPU)を2万5000個以上集めた。
発表によれば、最初のデータセンターは22.5メガワットの電力を供給し、50人分のオフィススペースも備える予定。
原題:Billionaire Trader Alex Gerko’s XTX to Build €1 Billion Data Hub(抜粋)
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