(ブルームバーグ):ドイツ銀行の資産運用部門DWSのトップが、「ウォーク(社会正義に目覚めた)」と保守派が批判する金融関連の取り組みを擁護するため、ソーシャルメディアを活用している。DEI(多様性、公平性、包摂性)やESG(環境・社会・企業統治)など平等や持続可能性に関連する用語への反発が巻き起こる中での動きとなる。
同社のステファン・フープス最高経営責任者(CEO)は、金融業界が足元で「反ウォーク発言」に主導権を譲り、「映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のようなマッチョな時代に逆戻り」するリスクに直面していると指摘した。同作は米国で2013年に公開され、金融業界の腐敗を描いている。
また議論の余地がないと考える目標として、「セクハラを一切容認しない」「アンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)回避」の必要性、「機会均等の確保」を挙げた。
自らがダンベルを持つ写真とともに、リンクトインに投稿した。この写真について、「男性的な写真なら私の反ウォークに反対する見解とバランスが取れると思った」と説明している。
世界の多くの大手企業は、DEI方針や、ファイナンスに絡むESG戦略から身を引いている。こうした動きは、ビジネスリーダーたちがトランプ政権の時代に備えている米国の企業が主導している。
欧州でも反ESGや反DEIの兆しは見られる。ドイツでは「企業サステナビリティー報告指令(CSRD)」として知られるESGルールを、骨抜きにしようとする動きが出た。競争力の妨げになるとの懸念からだ。
DWSを巡っては、過去に、ESG関連の実績を顧客に対して誇張して伝え、誤解を与えたと、元サステナビリティー責任者から指摘された経緯がある。この件に関して、DWSは米証券取引委員会(SEC)に和解金を支払うことで合意している。フープス氏は、同社の安定回復に向けCEOに就任した。
リンクトインへの投稿で同氏は、金融業界関係者は「われわれを結び付けているもの、多くの人が同意できるものに目を向けるべきだ。つまり、議論をやり直そう」と呼び掛けている。
【ESGバイウィークリー】を購読するには該当記事の冒頭にあるボタンを押して登録するか、NSUB ESG JAPANの該当する購読ボタンをクリックしてください。
原題:DWS CEO Warns of ‘Wolf of Wall Street’ Machismo Hitting Finance(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.