米カリフォルニア州ロサンゼルス市近郊の山火事はようやく鎮火しつつあり、バス市長は復興の加速に向けた行政命令を既に出している。

しかし、地球温暖化の影響で同じような壊滅的な山火事が再発する可能性は高く、一部地域をなお居住可能と見なすべきかどうかを巡り、難しい問題が浮上している。

気候変動による深刻な打撃を受けた地域から住民を計画的に移動させる試みは、これまでも幾つか行われてきた。

こうした管理された退避、いわゆる「マネージド・リトリート」の対象となるのは海面上昇のリスクがある場合が一般的だが、米国のプログラムでは最近、アラスカ州やワシントン州での先住民の移住も含まれている。

だが、ロサンゼルス郡など高リスク地域から、より安全な地域に住み替えるよう山火事の被災者を促す行政の取り組みはまだ始まったばかりだ。

カリフォルニア州は昨年、2018年および20年の山火事で被害を受けた住民の引っ越しを支援する最大35万ドル(約5500万円)の融資提供プログラムを始めたが、開始から数週間で予算を全て使い切った。

専門家は山火事について、海面上昇や河川の氾濫といったより予測可能な事象とは極めて異なるリスクをもたらすと警告している。

ブラウン大学のキャサリン・マコーネル氏とカリフォルニア大学ロサンゼルス校のリズ・コスロフ氏は昨年3月発表の研究論文で、「マネージド・リトリートは必ずしも火災リスクに対する適切な対応とは限らず、山火事に伴う移転の唯一の選択肢でもない」との見方を示した。

場合によっては、被災者がその土地にとどまる方がはるかに望ましいこともある。火災後の住民移転で空き家や空き地が増え、草木が生い茂った結果、火災がより起きやすくなり、さらに危険になりかねない。地中海地方の過疎化が進んだ一部地域では数年を経て、より深刻な山火事が発生している。

気候変動と米国人の移動に関する著書のあるジェイク・ビットル氏は、ロサンゼルス郡の人気の高さを理由に、今年の山火事後、住宅の大半が再建されるとの見通しを示した。

同氏の分析によると、米国民は、一段と深刻化する気象災害の影響を極めて受けやすい地域から離れるどころか、むしろそうした地域へと移り住んでいる。

ここ数年の間に被害額が過去最大級の気候災害に見舞われたフロリダ、テキサス、アリゾナ各州では人口が増加。こうした全米の移住トレンドもマネージド・リトリートをより困難にしている。

原題:LA Residents Face Tough Choice Post-Fire: Rebuild or Relocate?(抜粋)

--取材協力:Brian Kahn、Mythili Rao.

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