(ブルームバーグ):世界最大のステーブルコイン発行元、テザー・ホールディングスは、昨年11月の米大統領選で暗号資産(仮想通貨)推進派のドナルド・トランプ氏が勝利したことを受け、米国での事業拡大を検討している。2024年に得た巨額の利益を投資に回す見通しだ。
テザーは先月、動画共有ネットワークの米ランブルに7億7500万ドル(約1200億円)を投資することで合意したと発表。これに加え、仮想通貨企業に対する規制環境が改善するとの見通しを踏まえ、「米国の環境とその変化を検討し始める絶好の機会だ」とパオロ・アルドイノ最高経営責任者(CEO)が16日、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで述べた。
アルドイノ氏は「テザーが米国でのプレゼンスをやや高める可能性は否定できず、慎重な方法で進めている」と指摘。「現時点では、明確な規制とガイダンスが必要だ。米国の法律がどのような内容になるかを見極めてから判断する」と話した。
テザーはドルに連動するステーブルコイン「USDT」を発行している。USDTは主に現金および現金同等物から成る1370億ドル相当の準備金に裏付けられており、その大半が米国政府証券で占められている。
テザーが保有する米国債は主に金融サービス会社キャンターフィッツジェラルドによって管理されている。キャンターの最高経営責任者(CEO)、ハワード・ラトニック氏はトランプ次期大統領が商務長官に指名している。
アルドイノ氏によると、テザーは米国でのロビー活動も強化する予定。テザーは昨年9月、ペイパルの元幹部、ジェシー・スピロ氏を政府との関係構築を主導する担当者として採用した。テザーは米国のロビー活動に巨額の仮想通貨を投じている企業の一つだ。
アルドイノ氏はまた、24年通期の純利益が、100億ドル余りとの従来見通しを「大幅に上回る」可能性が高いとコメントした。
原題:Tether CEO Mulls Expanding US Presence, Expects Higher Profits(抜粋)
--取材協力:Anna Irrera.
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