(ブルームバーグ):16日の日本市場では、日本銀行が来週の金融政策決定会合で利上げに踏み切るとの見方が強まり、円相場が上昇した。米国の利下げ観測復活や20年債入札の順調を受けて債券は上昇。株式は日経平均株価が6営業日ぶりに反発した。
トランプ米次期大統領の就任時に金融市場に大きな混乱が起きなければ、日銀は来週の会合で追加利上げを決める公算が大きいとブルームバーグが報じた。今週に入り、氷見野良三副総裁と植田和男総裁が利上げを議論すると表明。金融市場(OIS)が織り込む来週の利上げ確率が8割を超える中、円は一時1ドル=155円台前半と昨年12月以来の高値に上昇した。
米国では15日発表された昨年12月の消費者物価指数(CPI)で食品とエネルギーを除くコア指数の伸びが予想を下回り、利下げ観測が再浮上した。米国市場(FF金利先物)では3月までの利下げ織り込みが3割程度に回復し、7月までの織り込みは100%に達した。
為替
東京外国為替市場の円相場は一時1ドル=155円台前半まで上昇。ブルームバーグ報道を受けて円買いが進み、主要通貨に対して全面高となった。円高・ドル安が急速に進んだ反動から、午後は156円台まで円が売り戻された。
オーストラリア・ニュージーランド銀行外国為替・コモディティ営業部の町田広之ディレクターは「日銀の観測報道がだめ押しとなって一段と円高に振れたが、そこから国内勢のドル買い・円売りが入って156円台に戻した」と説明。もっとも、日銀が来週利上げする可能性が高まっているため、「今晩の欧米勢の反応を確認する必要がある」と述べた。
債券
債券相場は上昇。米国市場で長期金利が大幅に低下したことを受けて買いが優勢だった。20年債入札が順調に消化されたことも支えになった。
三菱UFJアセットマネジメントの小口正之エグゼクティブ・ファンドマネジャーは、来週の利上げはおおむね織り込まれたと指摘。20年債入札に投資家の実需が入ったとの見方から買い安心感が出たと語る。
SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは、20年債入札は「強めの結果だった」と指摘。このところ利回りが上昇して魅力が増したことに加え、米金利の上昇が一服したことで買い安心感が生じたと述べた。
株式
東京株式相場は日経平均株価が6営業日ぶりに反発した。米国で好決算を受けて銀行株が上昇し、国内でも証券や銀行など金融株に買いが入った。台湾積体電路製造(TSMC)が発表した2025年の設備投資予想が市場予想を上回り、東京エレクトロンやアドバンテストなどが買われた。
オルタス・アドバイザーズの日本株式戦略部門の責任者、アンドリュー・ジャクソン氏は、半導体セクターへの関心が薄れていた中でTSMCの設備投資予想が好感されたと指摘。米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の上昇が予想され、関連株はあすも堅調に推移するとの見方を示した。
一方、日銀の利上げ観測を受けた為替の円高が自動車など輸出銘柄の重しになり、TOPIXは小反落。セゾン投信の瀬下哲雄マルチマネジャー運用部長は、たとえ過度な円高にはならなくても、大幅な円安シナリオは薄れており、自動車株の重しだと述べた。
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
--取材協力:船曳三郎、我妻綾、横山桃花.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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