半導体の受託生産大手、台湾積体電路製造(TSMC)が16日に発表した2025年1-3月(第1四半期)の売上高予想および25年の設備投資予測は共にアナリスト予想を上回った。人工知能(AI)ハードウエアへの投資が25年も底堅く推移するとの期待感を高めた。

1-3月期の売上高見通しは250億-258億ドル(約3兆9000億-4兆円)と、アナリスト予想平均の244億ドルを上回った。25年の設備投資予測は380億-420億ドル。アナリスト予想は352億ドルだった。

この発表で、TSMCの米国預託証券(ADR)は一時7.3%高と、昨年10月以来の大幅上昇。アプライド・マテリアルズやASMLホールディングなど、米国と欧州の半導体関連銘柄の株価も押し上げた。

TSMCの魏哲家CEO

TSMCの好調は、AI投資サイクルが今年も継続するとの楽観を後押しする公算が大きい。

AIを除くと、TSMCはアップルが依然として同社最大の顧客であるなど、家電とスマートフォンに引き続き大きく依存している。「iPhone」販売は低調だが、モバイルAI機能は徐々に拡大し、幅広い市場をけん引すると業界では期待されている。

魏哲家最高経営責任者(CEO)は16日、今年のスマホ部門の成長は1桁台前半にとどまるだろうと警告。一方、AI以外の分野で緩やかな回復が見られるだろうとも付け加えた。

ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、チャールズ・シャム氏は25年の売上高見通しについて、「けん引役としては、AI向け半導体需要の堅調持続に加え、新型スマホ向け半導体やAI搭載パソコン、インテルからのアウトソーシング注文が増加する可能性、そしてWi-Fi7向け半導体が支援するだろう」と述べた。

 

同日発表した24年10-12月(第4四半期)の純利益は57%増の3747億台湾ドル(約1兆7750億円)と、予想平均の3698億台湾ドルを上回った。先週発表した同期売上高も市場予想を上回っていた。

半導体や電子機器の需要、国際的な拡大のペースについて手がかりを得ようと、投資家はTSMCの設備投資に注目している。25年の設備投資は前年比40%増の見込みだった。

TSMCの四半期決算では19年夏以降、1四半期を除く全ての四半期で利益が予想を上回っている。TSMCの好業績を巡っては、当初はアップルのスマートフォン「iPhone」やタブレット「iPad」向けがけん引役だったが、足元ではAI関連の投資サイクルによって加速。世界的なAI開発競争で最大の恩恵を受けている企業の一つであるTSMCの株価は、24年に80%超の急伸となり、1999年以降で最大の上昇率を記録した。

原題:TSMC’s Upbeat Outlook Fuels Hopes for 2025 AI Spending (2)(抜粋)

(株価や魏CEOの発言などを中心に情報を加えます)

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