15日の日本市場では円が上昇。前日の氷見野良三副総裁に続きこの日は植田和男総裁の発言を受けて日本銀行の追加利上げ観測が高まり、買いが優勢だ。株式は利上げ期待を背景に銀行など金融株が買われ、債券は先物が下げに転じる場面がある。

氷見野副総裁は14日、トランプ次期米政権の政策について、来週の就任演説で「大きな方向は示されるのでは」と語った。これを受けて、日銀が来週の金融政策決定会合で追加利上げを決めるとの見方が広がっている。金利スワップ市場では、1月の日銀会合の利上げ織り込みは6割強程度に上昇した。

一方、植田総裁は15日、追加利上げを巡る判断は米国の政策や春闘の賃金動向次第だと改めて述べた上で、それらを精査し、来週の会合で利上げなどを行うか判断する考えを示した。全国地方銀行協会の新年の集いであいさつした。

植田総裁の発言を受けて円は午後に買いが先行、対ドルで157円台半ばまで上昇している。

為替

東京外国為替市場の円相場は1ドル=157円台半ばに上昇。来週開かれる日銀会合に向けて利上げを織り込む動きが円を支えている。

三菱UFJ信託銀行資金為替部マーケット営業課の酒井基成課長は、日銀の氷見野副総裁は14日の講演で1月利上げに含みを持たせたとし、市場が予想する利上げ確率は6割程度でさらに織り込む動きになっていると述べた。

一方、りそな銀行市場トレーディング室の田中春菜グループリーダーは、材料的に米国市場に傾きつつあり、15日に発表される消費者物価指数(CPI)が強いとドルが一段高となる可能性があると話す。

株式

東京株式市場ではTOPIXが反発。日銀が来週利上げに踏み切るとの見方が強まり、銀行や保険株が高い。ただ、米CPIの発表を前に投資家は様子見姿勢で、上昇幅は限定的だ。

SMBC日興証券投資情報部の太田千尋部長は、前日まで4営業日続落していたことから「きょうの上げ幅の8割程度は反発によるもの」と指摘する。

三菱UFJフィナンシャル・グループや第一生命ホールディングスが買われ、TOPIXの業種別指数で銀行と保険が上昇率上位に並ぶ。太田氏は「日銀会合前に、金利引き上げを期待する人たちが毎回出てくる」とし、「これが銀行の株価を押し上げているのだろう」と述べた。

債券

債券相場は超長期債が下落。新発30年債利回りは2009年以来の高水準を付けた。日銀が実施した国債買い入れオペの結果が弱かったことや、1月の日銀利上げ観測を背景に売りが強まっている。日銀の植田総裁の発言を受けて先物や中長期債も下落に転じた。

大和証券の小野木啓子シニアJGBストラテジストは、オペ結果は残存期間25年超など全体的に弱い結果だとし、「オペで売れなかった参加者が30年債を売っている可能性もある」と指摘。日銀の利上げ観測については「来週の会合は十分ライブで、1月に利上げがなくても3月との雰囲気になるので、国債を積極的には買いにくい」と述べた。

日銀は午前の金融調節で定例の国債買い入れオペを実施した。対象は残存期間1年以下、1年超3年以下、3年超5年以下、5年超10年以下、25年超。25年超の平均落札利回り格差は0.027%だった。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:船曳三郎、アリス・フレンチ.

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